2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06758
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
戸田 穣 昭和女子大学, 環境デザイン学部, 講師 (00588345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 戦後建築 / 慰霊 / 記念 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究の成果の具体的な内容:令和2年度において調査対象とした政府建立海外戦没者慰霊碑にかかる建築図面の資料整理・調査に着手した。政府建立海外戦没者慰霊碑は全部で15基が建立されているが、そのうち資料整理・調査対象としたのは故菊竹清訓氏設計の13基(下記)である。整理は令和3年度においても継続して行っている。 調査対象とした13基の慰霊碑:比島戦没者の碑(1973), 中部太平洋戦没者の碑(1974), 南太平洋戦没者の碑(1980), ビルマ平和記念碑(1981), ニューギニア戦没者の碑(1981), ボルネオ戦没者の碑(1982), 東太平洋戦没者の碑(1984), 西太平洋戦没者の碑(1985), 北太平洋戦没者の碑(1987), 第二次世界大戦慰霊碑(1994), インド平和記念碑(1994), 日本人死亡者慰霊碑(1995), 樺太・千島戦没者慰霊碑(1996) 当該年度の研究の成果の意義と重要性:当時の天皇明仁・皇后美智子(現上皇・上皇后)によるパラオ訪問の際にペリリューの西太平洋戦没者の碑を訪れたことで、その存在が知られた。これまで注目されてこなかった政府建立の海外戦没者慰霊碑とともに設計された慰霊空間の空間構成、ならびにその建立の経緯を明らかにする点に意義がある。また本対象は戦後の日本建築を代表する一人の建築家によって20年にわたって設計されたシリーズとしても例をみないものである。戦後の慰霊空間の一類型としての重要性をもつものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は教育における新型コロナウィルス対応の必要、また資料所蔵元の利用制限によって、本格的な調査の開始が遅れた。また遠隔地への移動を要する、長崎、沖縄の調査、シンポジウムの開催についても実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、資料調査に取り組んでいる上記の政府建立海外戦没者慰霊碑の資料整理・調査を中心に着実に進める。基本的には長距離の移動を必要としない、資料調査、既往文献の調査に努める。遠隔地への利用を要する沖縄、長崎調査については、今後の状況をみて実施を検討する。シンポジウムの開催については、これを中止する。
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Causes of Carryover |
2020年度は教育における新型コロナウィルス対応の必要、また資料所蔵先の利用制限、移動の制限もあり、具体的な研究実績へと結びつく研究活動を行うことができなかった。 今後は、現在、資料調査に取り組んでいる上記の政府建立海外戦没者慰霊碑の資料整理・調査を中心に着実に進める。基本的には、長距離の移動を必要としない、資料調査、既往文献の調査に努める。最終年度に予定していたシンポジウムの開催については、中止する。それに伴い残金が生じた場合には返還する予定である。
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