2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06760
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
登谷 伸宏 京都府立大学, 文学部, 研究員 (40447909)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 織豊系城下町 / 織田信長 / 豊臣秀吉 / 小浜 / 京都 / 権門寺社 / 惣構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、織豊系城下町の形成過程と歴史的特質を明らかにするため、織豊政権が建設した城下町に注目し、その空間・社会構造について検討を進めている。 平成30年度は、①昨年度から検討を進めていた小浜城下町の形成過程について、さらなる史料の収集を行うとともに、論文の執筆に着手すること、②織豊系城下町の空間・社会構造の特徴を見極めるため、戦国期末から近世初頭に各地で建設された構・惣構に囲繞された都市の空間・社会構造を明らかにすること、③織豊系城下町形成に関する研究支援データベースの構築を継続的に進めることを計画していた。 以上の研究目的・計画にもとづき、当該年度は具体的につぎの2つの作業を行った。第1が、小浜城下町の形成過程をより具体的に検討し、大まかな流れを把握することである。具体的には、港町小浜が若狭武田氏の城下町として位置づけられた大永2年(1522)頃から慶長6年(1601)の京極氏による小浜城築城までに、いかなる都市形成が進められたのかを、先行研究でも注目されている「小路」名のつく街路、および寺社の移動という視点から改めて整理し直した。また、小浜城下町は、織田信長の重臣であった丹羽長秀により改変が行われたものの、長秀自身は近江国の佐和山城を拠点としており日常的に小浜にはいなかったという点を重視し、信長の家臣団の建設した城下町のうち、同様の条件を持つ事例との比較検討も行った。以上の結果については、論文として執筆し始めている。 第2が、織豊系城下町の空間・社会構造の特徴を明らかにするため、構・惣構といった防御施設により囲繞された都市を比較対象としてえらび、その空間・社会構造を解明することである。具体的には、京都近郊の吉田社・醍醐寺という権門寺社を対象として分析を行い、いずれも境内・伽藍中心部を囲繞する構、門前集落全体を囲う構という二重の構を形成していたことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、小浜城下町の形成過程を整理し、論文執筆にとりかかること、織田政権により建設された城下町の特質を解明すること、研究支援データベースの構築を主たる目的としていた。こうした作業をおおむね順調に進められており、小浜城下町の形成について見通しを得るとともに、論文の執筆に着手できた。 さらに、権門寺社の構・惣構の特徴を明らかにすることにより、織豊系城下町の空間・社会構造について再検討することができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、以下の作業を進める予定である。 1)小浜城下町の形成について論文を執筆する 2)豊臣政権による城下町建設に関する史料の調査・収集 3)研究支援データベースの充実 4)研究の総括
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Causes of Carryover |
他の予算との合算による使用ができなかったこと、科研費の打ち切り支給ができなかったことから、次年度使用額が生じた。 今年度の残額はごく少額であるため、次年度の助成金とともに問題なく執行できると考える。
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Research Products
(1 results)
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[Book] 危機の都市史2019
Author(s)
「都市の危機と再生」研究会
Total Pages
406
Publisher
吉川弘文館
ISBN
978-4-642-03884-3