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2018 Fiscal Year Research-status Report

イタリアの初期中世教会堂建築における求心的空間の意義とその構成手法に関する研究

Research Project

Project/Area Number 17K06763
Research InstitutionKobe Yamate University

Principal Investigator

高根沢 均  神戸山手大学, 現代社会学部, 准教授 (10454779)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords初期中世 / 周歩廊 / 再利用材 / スポリア / ランゴバルド / 集中形式 / 聖墳墓聖堂
Outline of Annual Research Achievements

昨年度に引き続き、研究計画に沿って現地調査と文献調査を進めた。そのうち、高精細画像を用いた三次元モデル作成のための調査を実施した現地事例は以下の通りである。
(1)サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂(イヴレア):クリプタおよびアプシス後背の周歩廊、(2)サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂(プリンチパート・ウルトラ):教会堂聖域およびアプシス後背の周歩廊状カタコンベ、(3)サンタ・ソフィア聖堂(ベネヴェント):堂内、(4)洗礼堂(サンタ・セヴェリーナ):堂内、(5)サン・ジョバンニ・アル・セポルクロ聖堂(ブリンディジ):堂内、(6)テンピエット(カンペッロ・スル・クリトゥンノ):聖域および外観、(7)サン・ミケーレ・アルカンジェロ聖堂(ペルージャ):アプシスおよび細部、(8)サン・ジョバンニ洗礼堂(セッティモ・ヴィットーネ):堂内
また、周歩廊を持つ集中形式の理念的な原型ともいえる聖墳墓聖堂を模して創建されたボローニャのサント・ステファノ聖堂について、堂内の柱および再利用部材の配置の調査を行った。
上記の教会堂事例における再利用部材の平面上の配置計画を比較すると、これまでに円形平面の教会堂で指摘したように、聖性の焦点としてのアプシスに向かう軸線に対して正対しない位置に入口とイレギュラーな部材が配置される傾向があることがわかった。こうした配置の理由として、周歩廊の使われ方との関係があることが推測される。特に、エルサレムの聖墳墓聖堂の影響が推測されるボローニャのサント・ステファノ聖堂の列柱の特殊な配置は、他の上記事例にみられる部材配置と共通点があることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度に限っていえば、9月の台風による関空閉鎖の影響を受けて現地調査の期間が短くなったため、予定していた事例調査を全てこなすことは出来なかった。しかし、主要な調査対象事例については、なんとか現地調査と文献収集を進めることができた。調査では目視と画像記録とともに三次元モデル作成に必要な画像もある程度十分に得られたと考えている。再利用材の配置計画については、主要事例に加えて同時代の参考事例の調査も進めており、その点では当初予定よりも多くの情報を得ることが出来たと考えている。
一方で、国内で三次元モデルの作成を進めているが、ワークステーションの能力の限界があるので、想定よりも時間がかかっており、そちらはやや遅れ気味である。

Strategy for Future Research Activity

最終年度は、研究計画にあるとおり、主要な事例と関連事例についてこれまでの調査結果の検証を進め、不足する情報を捕捉するための現地調査を行う。特に、スポレートのサン・サルヴァトーレ聖堂は、昨年まで修復工事にはいって内部に入ることが出来なかったため、修復が終了した段階で現地調査を実施する予定である。
また、国内では調査で得られた画像を元に、各事例の三次元モデルの作成を進める。十分な精度とディティールを維持したモデルを作成するためには、撮影条件のよい写真を使うことが重要であるため、夏~秋の調査ではその点に注意して撮影する。完成した三次元モデルについては、これまで平面的に解釈してきた再利用部材の配置計画について、堂内の空間的な聖性の焦点に対する空間的な位置関係から新たに配置の意味を再検討し、研究のまとめとしての考察を行う。

Causes of Carryover

9月に起きた台風によって関空が閉鎖され、予定していた現地調査の期間が短くなったため、旅費が想定よりも少なくなった。また、データ保存用のSSDの購入を予定していたが、今年度は手持ちのもので間に合ったため購入を取り止めた。繰越となった金額を合わせた次年度予算は、現地調査費用とデータ保存用のSSD購入で使用する予定である。

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Published: 2019-12-27  

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