2017 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of magnetic properties of soft magnetic metallic glasses by nanophase separation and development of soft magnetic materials with high saturation magnetization
Project/Area Number |
17K06775
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
尾藤 輝夫 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (40315643)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アモルファス合金 / 軟磁性材料 / ガラス形成能 / 飽和磁化 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Fe-Co-B-Si-Nb合金のNbをDy, Nd, Smで置換し、ガラス形成能や飽和磁化への影響について調査を行った。これらの希土類(RE)元素の原子半径、および他の構成元素に対する混合熱は、過去に研究したYとほぼ同じである。しかしFe-RE系の平衡状態図は、DyはYと類似している(高Fe濃度側に複数の共晶点を有し、またFe23RE6相が安定相として存在する)が、Nd, SmはYと類似していない(高Fe濃度側には共晶点は無く、Fe23RE6相も存在しない)。 ガラス遷移の有無、および過冷却液体領域の広さ(ガラス遷移温度と結晶化温度の温度差)で判断したガラス形成能は、Y = Dy > Nd > Smの順に向上することが分かった。すなわち、高Fe濃度側に複数の共晶点を有すること、またはFe23RE6相が安定相として存在することが、本合金系のガラス形成能と密接に関係していることが示唆された。Fe基金属ガラスにおいては局所構造が準安定なFe23B6相に類似していること、およびFe23RE6相はFe23B6相と構造が似ていることから、YまたはDyを添加することでガラス相の局所構造が変化した可能性が考えられる。しかし、Y, Dyを添加した合金は高いガラス形成能を有するが、薄帯試料の表面結晶化が防げないことが明らかとなった。これは、合金中に少量含まれるRE酸化物の影響によるものと考えられる。 また、Nd, Smではガラス形成能向上の効果は小さいものの、飽和磁化を大きく向上させることが分かった。これは、Nd, Smの磁気モーメントがFe, Coと強磁性的に結合するためであると考えられる。またSmを添加した場合はガラス遷移が得られにくいが、Smの酸化物(単斜晶)はbcc-Fe相の核生成サイトになり難いため、比較的容易にアモルファス単相薄帯が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希土類元素の性質とガラス形成能、および飽和磁化との関係がある程度明らかになり、今後の材料開発に関して有益な情報が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
Fe-RE系において、(1)高Fe濃度側に共晶点を有すること、(2)Fe23RE6相が安定相として存在すること、のいずれか、または両方が、合金のガラス形成能と密接に関係していると考えられる。ガラス形成能向上のメカニズムを解明するため、高Fe濃度側に共晶点は有しないが、Fe23RE6相が安定相として存在するTbを添加し、ガラス形成能に対する効果を調査する。また、今年度作製した合金の結晶化過程を詳細に調査し、添加した希土類元素とガラス相の局所構造との関係を明らかにする。 また、Smの添加により薄帯の表面結晶化を防ぎながら飽和磁化を向上させることが可能であることが明らかになった。これを利用することで、高い飽和磁化を有する新しい軟磁性材料が開発できると考えられる。そのため、Fe-B-C(-Si)系合金へのSmの添加による飽和磁化とガラス形成能の向上について、予定を早めてH30年度中に着手する。
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Causes of Carryover |
予算を効率的に使用するため、導入を計画していたミクロ分析天秤は中古品を購入する予定であったが、程度の良い中古品が見つからず、導入を先送りした。また、希土類元素添加による飽和磁化の変化が当初の予想以上に大きく、結果として、現有のセミミクロ分析天秤でも十分に対応できている。そのため、ミクロ分析天秤購入に充てる予定であった予算は、今後、(1)ガラス形成能向上のメカニズムの解明のため、当初の予定よりも検討する希土類元素の種類を増やす必要があるため、原材料の購入費用に充てる。また、(2)実用を目指し超高飽和磁化材料の検討を前倒しして実施するための各種消耗品、原材料などの購入費用に充てる。
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Research Products
(8 results)