2017 Fiscal Year Research-status Report
非アフィン熱歪み現象を用いた金属ガラスにおける構造不均一性の解明
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17K06779
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
山崎 由勝 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (00794463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 和孝 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10156862)
山崎 徹 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30137252)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属ガラス / 応力緩和 / 構造若返り |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はNd-Ni-Al金属ガラスを対象として,低温熱サイクル法が動的応力緩和挙動に及ぼす影響を検討した.定速加熱・定周波数下で動的緩和緩和挙動を測定した結果,低温熱サイクル処理が進行してもβ緩和領域ではピーク温度及び強度には顕著な変化は見られなかった.一方,α緩和領域ではピーク温度は顕著に変化しなかったものの,ピーク強度が低温熱サイクル処理の進行に伴い減少する傾向が見られた.これはα緩和領域,つまり高弾性率領域の体積が減少していることを示している.通常の若返り法では比較的低活性化エネルギーを有するβ緩和領域から優先的に若返っていくが,本結果はむしろ比較的高活性化エネルギーを有するα緩和領域のみ影響が及んでおり,この現象は直感的にも理解し難く,従来の構造不均一モデルでは解釈できない.従って,本結果は構造不均一性の実態を明らかにする上での重要な手掛かりを内包している考えられ,今後の研究により構造不均一性に関する新たな知見が見出せると期待される. また,低温熱サイクル処理による構造変化をシミュレーションの観点から明らかにするために,有限要素法による熱歪み解析を試みた.本年度はその前段階として,自由体積モデルに基づきLiquid-like及びSolid-like siteの二種類のサイトから過冷却液体が構成されるものと仮定し,パーコレーションシミュレーションを行うことで,熱歪み解析に用いるガラス構造を決定した.シミュレーションの結果,冷却に応じてLiqud-like siteのネットワークが分断する様子を観測することに成功し,加えてシミュレーション上で相転移が生じることを確認した.本結果に基づき,有限要素法による熱歪み解析を行うことで,低温熱サイクル法による構造変化を可視化することができると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はZr-Cu系金属ガラスを対象として,低温熱サイクル法が動的応力緩和挙動に及ぼす影響を調査する予定であった.しかし,予備実験により平成30年度に実施する予定であったNd-Ni系金属ガラスにおいて興味深いデータが得られたため,本年度はその検討に充てた.計画において支障はなく,順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,Nd-Cu系合金など構造不均一性度合いが異なると推測される金属ガラスについて,低温熱サイクル法が動的応力緩和挙動に及ぼす影響を調査し,ガラス構造の不均一性について理解を目指す.加えて,有限要素法による熱歪み解析からガラス構造モデルについて検討する.
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Causes of Carryover |
試料作製のための東北大学金属材料研究所への出張や学会などの旅費,及び実験設備維持費などに使用する予定である.
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