2018 Fiscal Year Research-status Report
Simultaneous determination of electron concentration e/a and valency of constituent elements in transition metal-based intermetallic compounds with significant charge transfer
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17K06780
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| Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
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Principal Investigator |
水谷 宇一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (00072679)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 遍歴価電子濃度 / 原子価 / 第一原理電子構造計算 / 電荷移動 / フェルミ面とブリルアンゾーン / 価電子帯 / 遷移金属 / イオン結合の高い化合物 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、第一原理バンド計算FLAPW法を活かしてFLAPW-Fourier理論を発展させ、遷移金属化合物も含めて1原子あたりの遍歴電子数e/aに関する統一した体系を確立してきた．これは逆格子空間での産物であり、単位胞毎に均質化された平均の電荷分布を与える．これに対して、実空間において定義される電子濃度パラメータに原子価 (valence)がある．これは、構成元素毎の電荷量として定義されるので、化合物の場合には、不均一電荷分布を評価することになる．研究代表者はe/aと原子価の二つの電子濃度パラメータの同時解析の重要性を主張してきた．
初年度は、元素単体として個性の異なるNa, Si, V, Fe, Cuを選びこれらの元素を使って電荷密度分布を求めた．さらに1:1等比化合物として、電荷移動が顕著なZintl化合物NaTl (cF16)及びAlFe (cP2)を取り上げてe/aと原子価の同時評価を試みた．
本年度は、初年度の計画を発展させて、やはり電荷移動が顕著と期待されるP化合物を選択しe/aと原子価の関係を調査した．例えば、PSc (cF8)について電荷密度分布を計算し、いずれも電気陰性度が小さいSc原子からその値がより大きいP原子に向けて電荷移動が観察され、Scの原子価は単体における値3より低下し2.5価、一方、Pの原子価はその単体の値5より増加して5.5価となった．その平均値4.0はe/a=4.15と整合した．
初年度に得られた電荷密度分布から各構成元素の原子価を評価する解析手法の確立に集中した．特に、WIEN2k-FLAPW法で採用されているlocal orbitalの取扱いに不明なことが多く、多くの時間を割いたが最終的にはその解析手法の確立に成功し、e/aと原子価に関する整合性のある結果を得ることが出来、その成果をPhilosophical Magazineに投稿した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に取り上げた周期律表にある5種類の元素Na, Si, V, Fe, Cu及びイオン結合性が強く電荷移動が顕著な化合物として知られているNaTl (cF16)と軌道混成効果が高いAlFe (cP2)化合物について1原子当たりの遍歴電子数e/aと原子価について得られた結果を解析した．e/aの解析手法はすでに確立しており問題は生じなかったが、電荷密度分布データより原子価を抽出する解析過程において、原子球と中間領域の境界で電荷密度分布の滑らかな接続を達成することに手間取り、予定よりもその進展がやや遅れた．しかし、本年度の12月にはe/aと原子価の同時決定とその解析に成功して、その結果を、Philosophical Magazineに2018年12月に投稿することが出来た．一方、今年度に計画した電荷移動が大きいと期待されるP化合物に関する研究は順調に進展した．
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究は、2019年度で最終年度を迎える．我々は、逆格子空間を使うが故に、単位胞で平均化された電荷分布から求まる1原子当たりの遍歴電子数e/aと、電荷移動が有限な化合物で必然的に生ずる不均一電荷分布を実空間の電荷分布から定量的に評価出来る原子価(valence)が互いに相補的な役割を演じることを指摘し、この二つのパラメータを同時に評価する手法を確立した．最終年度には、この根幹を支えてきたHume-Rothery電子濃度則の物理に関してそのReviewを執筆することにした．この中で、e/aと原子価の同時決定の重要性を含めて本研究の成果を内外に公表する計画である．
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| Causes of Carryover |
この研究の進行に不可欠なリナックス計算機の不測の故障に備えて物品費を予定していたが、その必要がなかった．
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