2018 Fiscal Year Research-status Report
フラットな最外内殻準位と反転分布状態を利用したシンチレーション光の高速・高強度化
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17K06785
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
大西 彰正 山形大学, 理学部, 教授 (90261677)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
不純物イオンのd軌道による内殻準位と母体イオンのp価電子帯間でのオージェ・フリー発光(AFL)の発現を目指し、AX:B(A=Rb,K、B=Zn、X=Cl)を中心に結晶の作製を継続し、作製した結晶の光学特性評価をシンクロトロン放射光からの真空紫外光を用いた分光実験により行った。AX:B結晶の光学特性の考察のための、A2BX4結晶での分光実験も行った。また、ナノ結晶の作製にも取組み、試料の評価を行った。ブリッジマン法による試料作製において昨年度課題となった、出発試薬の融点の違いによる試薬の分解の問題を克服するため錠剤形成の手法を用いた結晶作製を試みた。融点の違いによる試薬の分解の抑制はまだ十分ではないものの、不純物としてBイオンを取り込める可能が示唆された。ナノ結晶についてはXRD測定により作製の成功は確認できたが、試料の劣化が早く分光測定までの時間や保存方法を検討しなければならないことが分かった。水溶液法で作製した結晶に対してその電子状態を調べたが、Bの濃度が小さく実験によりその準位の有為な情報は得られていない。今後、濃度の問題を克服し、実験を行う予定である。比較的濃度が小さい場合も、発光測定では電子状態に関する情報が得られる可能性があるため、A2BX4結晶の電子帯構造から考察される不純物Bの浅い内殻準位を励起した際に発生するAFLの観測を行ったが、不純物発光の存在などにより明確な観測には至らなかった。AFLは寿命が短いことから時間分解測定が有用と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、計画していた実験はほぼ予定通りに実施したが、まだ目的とする十分な結晶の作製には至っていない。次年度も試料作成法の確立を目指しながら、予定通りの光学測定を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
不純物内殻準位を介した不純物イオンのd軌道による内殻準位と母体イオンのp価電子帯間でのオージェ・フリー発光発現に結晶のナノ化が有効であるとの知見を出だしている。このことを追求しつつ目的とするAFLの観測に取組む。
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