2019 Fiscal Year Annual Research Report
Study on functional materials and ways of their functional enhancement from viewpoint of sub-nanosheet magnets
| Project/Area Number |
17K06788
|
|---|
| Research Institution | Kyoto University |
|---|
Principal Investigator |
太田 寛人 京都大学, 工学研究科, 講師 (60546985)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 遍歴電子強磁性 / 層状化合物 / サブナノシート磁石 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き I.「サブナノシート磁石を有する化合物の系統的大規模探索」および II.「新規層状磁石への機能付加・高機能化」を実施した。I に関して、前年度に実施したNaCoPおよびNaCoAsの合成は、その後合成条件の最適化を試みたものの目的物質の得られる条件を見出すことができず、物質合成を断念しより確実に結果が得られる物質に焦点を絞った。II に関して、前年度に引き続きEu(Co,Ni)2P2の合成と物性測定を続行した。この固溶系ではx=0.3の前後で構造が通常の正方晶から潰れた正方晶に変化する。x<0.3ではCoは強磁性秩序を示さず、Eu2+由来の反強磁性のみが現れる。一方で、x~0.3ではCoの磁気モーメントが150Kで強磁性秩序を示し、50K付近で反強磁性状態に転移することがわかった。また、この強磁性-反強磁性転移温度の磁場依存を調べたところ、圧力-温度平面において反比例的な相境界となることがわかった。これらから、この強磁性-反強磁性転移は前年度にも報告したようにLnCoAsOなどでみられた強磁性-反強磁性転移と同じ性質であることがわかった。焼結試料を用いた磁気抵抗の測定を試みたが、焼結の度合いが低くうまく測定できなかった。このためスズフラックス法による単結晶試料の育成を試みたが、これまでにいくつかの組成で電気抵抗測定が可能なサイズの結晶を得ることに成功している。研究期間終了後になるが、これらを用いた磁気抵抗効果の観測を行う予定である。
この潰れた正方晶構造は通常の正方晶構造の高圧相であることが知られている。今回は常圧でのみの実験であったが、よりNi濃度の低い領域において圧力を印加することでもどうようの潰れた正方晶構造に転移可能であると予想される。その場合、より高温においてよりエントロピー変化の大きい強磁性-反強磁性転移を示すと期待できる。
|
