2017 Fiscal Year Research-status Report
Chemical defects of gallium oxide at low oxygen partial pressure and doping for sol-gel thin films
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17K06791
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大矢 豊 岐阜大学, 工学部, 教授 (80167311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 酸化ガリウム / 格子欠陥 / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
純度99.999%の酸化ガリウム粉末を成形、1500℃で焼成した後、800℃で酸素分圧が10の-25乗気圧の窒素雰囲気で100時間保持した後粉砕し、透過電子顕微鏡にて観察した。高分解能観察から、空格子が連続する格子欠陥のクラスタ-の生成が確認されたほか、数十nmの範囲での格子のゆがみが観察された。このゆがみが格子が湾曲している結果か、構造自体の変化によるものかについては未だはっきりしていない。また非常に興味深いことに転移などの生成によるコントラストは全く観察されなかった。制限視野電子線回折から超格子反射と思われる回折も認められたが、これが本当に超格子反射であるかについてはまだはっきりしていない。 酸素分圧を10の1乗から-25乗気圧で熱処理した試料について粉末X線回折試験を行った。リートベルト解析の結果は、a、b、c軸長、角β、単位胞体積ともほとんど変化はなく、低酸素分圧処理の影響を明確に示す結果は得られなかった。また超格子反射によると思われるピークの存在も確認できなかった。回折ピークの半価幅から見積もった結晶子の大きさについてもむしろ低酸素分圧熱処理の方がわずかに多く奇なる傾向が認めらるのみであった。 4価イオンであるTi4+をドープした試料では焼成体密度が大幅に高くなったが、伝導度の向上は確認できず、むしろ小さくなった。電気伝導度を酸素分圧10の-7乗気圧まで測定した場合の傾きは無添加試料とほぼ同じであった。X線回折の結果、急冷試料ではGa2TiO5が結晶化し、これを炉冷するとルチル(と酸化ガリウム)が結晶化していた。Ga2TiO5はシュードブルッカイト構造の化合物であり、これが低い温度で分解したことがわかった。しかし電気伝導度の測定温度で分解していたかは不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過型電子顕微鏡による解析は中途段階であり、さらに詳細な解析を行う。X線解析について中途である。X線回折はマクロな結晶の情報によるものであるので、透過電子顕微鏡よりも平均的になる。従ってさらに低酸素分圧、長時間処理を行って再度リートベルト解析を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験では800℃、酸素分圧10の-25乗気圧、100時間の条件で行っていたが温度を高くして還元処理を行い、透過型電子顕微鏡による観察および粉末X線回折を引き続き行い、解析する。さらにTi、Siを添加した試料を作製し、これをさらに低い酸素分圧下で処理することで電気伝導度などの変化、X線回折の実験を行い、酸素分圧の影響で固溶条件が変化するか実験を行う。 また薄膜を合成し、同様の同様の実験を行う。薄膜作製については以前の研究実績があるのでこれを参考にする。これまでの実験では、ドープ試料の熱処理はあまり酸素分圧を下げていないので、今回はドープ試料の熱処理を酸素分圧10の-25乗気圧程度の条件でおこなう。
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Research Products
(8 results)