2018 Fiscal Year Research-status Report
次世代鉄系酸化物磁石開拓のための汎用強磁性核共鳴法実証機の開発
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17K06793
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 教授 (00202218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強磁性核共鳴 / 無同調NMR / 周波数高速可変 / フェライト磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の含む一連の研究の最終的な到達目標は,十分な汎用性を持つ周波数高速可変型無同調NMR装置を開発することであるが,本研究自体の目的は,その第一段階として,既存の装置の改良により周波数高速可変型無同調NMR装置のコンセプトマシンを開発することである.最終的な目標装置とのスペック上の違いは,測定速度が現有システムの能力で制限されること,および周波数域をおよそ200MHz までに制限していることである.昨年度は既存の装置の送受信機部分をメーカーに依頼し改造した,今年度はそれを用いた周波数可変測定に必要な全く新しい測定ソフトウェアを開発する計画であった.ところが,今年度に入ってから,改造を行った受信機のデータ出力部にバグがあることが分かり,メーカー側での対応となったため,その影響でシステム開発が後ろ倒しになった.そのため,その間の代替策として,将来に向けた周波数拡張の可能性を検討した.実際に周波数を拡張するにはその領域に対応したパワーアンプが必要であり,本研究の予算範囲では現実的ではないが,次のステップへの準備としての検討である. 一方,我々が研究対象としてるCo置換M型フェライト磁石の異方性増強機構を解明するためにはCo-NMRが有効である.しかしながら,Coの強磁性NMRの周波数域は既存の装置では対応できないため,国際共同研究としてフランス・ストラスブールの無同調NMR装置を用いた実験を行った.その結果,Coのサイト占有率や局所異方性や軌道磁気モーメントの試料依存性に関して極めて有用な実験結果が得られ,その結果を公開したことで,無同調NMRの有用性が強くアピールできたと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度改造したハードウェアにバグがあることが判明し,メーカーによる対応が長期化したため,当初予定していたシステム開発が停滞した.一方,我々がモデル装置としているフランス.ストラスブールの無同調NMR装置を用いて,Co置換M型フェライトのCo-NMRを行い,期待以上に有用な結果が得られた.このことは開発中のシステムの有用性アピールにもつながり,総合的には比較的大きな進展があったと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
新システムの開発が予定より遅れているため,それを予定期間内の完了を目指して特にソフトウェア開発を加速する.Co-NMR の有用性が改めて認識されたため,Co-NMRに対応すべく周波数拡張を検討する.また,フランス・ストラスブールのグループとの共同研究を継続し,海外の現状を調査すると同時に,実験結果を随時公表する.
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Causes of Carryover |
装置のバグ修正に予定外の期間を要したため,装置整備に伴う支出が後ろ倒しになった.全体計画に変更はないので,今後引き続き追加の改造,予定の寒剤等消耗品費,および調査・共同研究に要する旅費に充当する.
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Research Products
(4 results)