2019 Fiscal Year Annual Research Report
Design of general-purpose ferromagnetic nuclear resonance spectrometer to develop hard ferrite magnets for future generation
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17K06793
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 裕之 京都大学, 工学研究科, 教授 (00202218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 強磁性核共鳴 / 無同調NMR / 周波数高速可変 / フェライト磁石 / 局所磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,従来型の広帯域核磁気共鳴装置を改良し,周波数域に著しく広がった強磁性体の核共鳴スペクトル測定を効率化するための周波数高速可変型核共鳴装置のコンセプトマシンを開発することである.昨年度,受信機のデータ出力部の改造に予定外の時間を浪費したが,その問題は昨年度末に解決した.57Fe核の強磁性スペクトルを想定した200 MHz付近までの測定では,当初の予定通り原理が検証されたため,本来の目的に加えて,新たに59Co核共鳴を想定した600 MHz付近まで周波数拡張を目指した.その場合のネックはその周波数域をカバーするワイドバンドアンプの導入である.それを既製品として購入しようとすると1000万円弱の予算が想定される.そこで,海外で流通しはじめている通信用汎用ユニットアンプの中古品を手に入れ,それをNMR用パルスアンプに改造することを試みた.その結果,十分実用に耐えうる広帯域パワーアンプを低コストで開発することに成功した.このことは低予算で強磁性Coの核共鳴が可能になることを意味し,Co置換型の高性能フェライト磁石開発の高速化に資すると考えられる.今後は,データ演算部ハードウェアを開発し最終的な汎用装置の実用化を目指すことになる. 一方,平行してCo置換型高性能フェライト磁石の59Co核共鳴実験をフランスストラスブールのグループとの共同研究として行って来たが,追加実験を行い,Co原子の局所磁気異方性の情報やCo占有サイトと磁気異方性の関連を以前より明確に示すことができた.このことは希少金属であるCoの効率利用に繋がる情報を与え次世代鉄系酸化物磁石開発における意義が大きい.また,その結果を日本語の解説記事として公開したことで,局所異方性プローブとしての強磁性核共鳴の有用性や無同調周波数高速可変核共鳴装置の開発の意義がアピールできたと考えている.
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Research Products
(5 results)