2017 Fiscal Year Research-status Report
Potential application of carbon nanowalls to fuel cell electrodes
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17K06797
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
橘 勝 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (80236546)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カーボンナノウォール / 燃料電池 / 酸素還元反応 / 白金代替触媒 / 鉄・窒素添加カーボン触媒 / グラフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池用非白金系触媒の開発に向けて、最近申請者らによって構築された直流プラズマ化学気相蒸着(dc-PECVD)/スパッタリング複合装置を用いて、カーボンナノウォール(CNWs)への鉄(Fe)および窒素(N)の添加を行った。作製したFeとNが添加されたCNWsは、本来のCNWsのエッジにより微細な形状が生じ、添加により結晶性が僅かに低下ることがわかった。ORRに対する触媒活性を評価するために、酸性溶液下でCV測定を行ったところ、開始電圧は0.72 Vを示し、添加処理を施していないCNWsの値より遥かに高い触媒活性を示した。一方で、N-CNWsの開始電圧はN濃度を増加させると、わずかに向上する傾向は見られたものの、Fe-N-CNWsほど高い開始電圧は得られなかった。このことから、ORR活性の向上にはFeの添加が重要であることが分かった。さらに、注目されることは、ORR測定後のFe-N-CNWsのXPSからは、Feが検出されなかったことである。しかし、この状態で安定して高い開始電圧が得られていることと、Nのみでは開始電圧の向上が見られなかったことから、XPSの検出限界以下の微量なFeでさえ、高い触媒活性に寄与することが明らかとなった。今後はXAFSなどのその他の分析手法によるデータを加え、活性のメカニズムの解明を目指す。
また、次年度に予定していた「CNWをベースとした新規材料の創製」に関して、興味深い結果が得られた。具体的には、本研究で作製したFe-CNWを大気中で400℃以上で加熱することによって、カーボンが蒸発して鉄酸化物ナノウオールが生成することがわかった。これはCNWをテンプレートした新たな材料創製としても大変興味深く、次年度以降は成長制御も含めて新規物性の探索も目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は概ね順調に進展している。触媒活性は世界最高性能とまでは達していないものの、明確な触媒能を観測した。特に、触媒活性のメカニズムの理解において、有効な結果が得られた。一方で、今年度に購入を予定していたラマン分光用環境制御セルシステム(特注)において、設計上の問題があり、今年度導入ができなかった。しかし、現有の装置を用いても実験は可能であり、当初予定していた詳細な測定ができなかったものの十分に有用なデータを得ることができた。次年度以降には装置の改良、導入を行うことによってさらに詳細な解析による触媒メカニズムの解明を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降も、当初の計画通り、引き続き平成29年度の実験研究を進める。特に、触媒活性のメカニズムの解明に向けた、データの蓄積と解明を目指す。さらに、CNWベースのカーボンアロイ触媒の実用化に向けて、電池の作製とその特性の測定を行う。このような実用化研究は、企業との共同研究が有効である。そこで、申請者がこれまでナノカーボンの作製で共同研究を行ってきた(株)IHIと実用化研究を進める。さらに、前述したように、平成30年度に予定していた「CNWをベースとした新規材料の創製」に関して、前倒しであるが、すでに今年度に興味深い結果が得られた。具体的には、CNWをテンプレートとした酸化物ナノウオールの創製である。この手法は非常に簡便であり、様々な酸化物ナノ構造体の作製が可能である。平成30年度はこれらの生成制御や新規物性の探索も並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定の特注品のラマン分光用環境制御セルシステムの設計の問題点が見つかり、その修正に大幅な時間がかかった。さらに、その修正装置だと金額的にも当初予定より高額となったため、その代替品の設計および購入を行うことになった。そのため、上記に関連した備品購入とその消耗品購入は次年度に行うこととした。したがって、この装置の改良とそれに関連した消耗品の購入に、この次年度使用額を使うことを計画している。
装置導入の遅延による研究計画への影響は無く、現有の装置およびセルシステムを利用することによって、今年度予定していた実験は概ねできており、研究計画は概ね順調に進んでいる。したがって、次年度の当初予定の上記以外の研究計画変更は無く、次年度は上記の金額と次年度分として請求した助成金と合わせた使用計画となる。
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Research Products
(8 results)