2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Mesoporous Single-Crystalline Oxide Electrodes with High Electroconductivity and Durability
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17K06803
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
黒田 義之 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50638640)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電極触媒 / 導電性酸化物 / メソ多孔体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高耐久性かつ高電子伝導性を有するメソポーラス酸化物担体の候補として、メソポーラスNbドープチタニアの合成を検討した。粒径70 nm程度のシリカナノ粒子からなるコロイド結晶を鋳型として用い、メソポーラスチタニア及びNbドープメソポーラスチタニアの形成を確認した。合成条件を最適化し、鋳型外部でのチタニアの析出を抑制する見通しを得た。また、鋳型外部で析出したチタニアは表面積低下や導電性低下の原因となるが、これもチタニア析出後にふるいわけをすることである程度分離できることがわかった。また、生成したメソポーラスチタニアを部分的に還元し、導電性を高める検討を進めている。 一方、メソポーラス酸化物担体に担持するための触媒として、ハイブリッド水酸化物ナノシートの利用を検討した。ハイブリッド水酸化物ナノシートは、三脚型配位子とコバルト塩との反応により得た。この物質は表面に三脚型配位子が修飾された水酸化コバルトであり、水中で容易に単層剥離した。ナノシートの厚みは1.3 nm、ラテラルサイズは数十 nm程度であり、電極触媒としての有用性が期待される形状であった。また、有機溶媒を用い、表面官能基の状態を制御することにも成功した。 これらの物質の酸素発生反応(OER)への活性を検討したところ、一般に用いられるNiと比較して最大で180 mV程度の過電圧の減少が認められた。再生可能エネルギーを模擬した電位変動試験により、極めて高い耐久性を示した。 以上より、本年度は高耐久性電極触媒担体/触媒の作製に関し、触媒担体、触媒それぞれの候補となる材料を合成することができた。次年度以降は、これらを用いた電極の作製と評価に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初計画していたNbドープメソポーラスチタニアの合成に成功している。また、合成条件を工夫することで、副生成物の抑制にも一定の効果を上げている。また、触媒開発においては、ハイブリッド水酸化物ナノシートに高いOER活性を見出すと共に、当初予定されていなかった触媒自体の高耐久性も明らかにすることができた。したがって、研究は全体として順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、Nbドープメソポーラスチタニアとハイブリッド水酸化物ナノシートの合成に成功したため、次年度はこれらを用いた電極の作製と、それらの耐久性評価に取り組む。まずは、各部材単独での耐久性を評価し、続いてこれらの組み合わせによる耐久性の相乗効果の有無についても検討する。ハイブリッド水酸化物ナノシートは、当初の予想に反して単独でも高い耐久性を有することが明らかとなったため、単独での耐久性評価にも十分な時間を充てる予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題採択の1カ月前に所属機関を異動し、研究環境に大幅な変更が生じた。無機合成を専門とする研究室から電気化学を専門とする研究室への異動のため、当初予定していた電気化学測定にかかる費用は大幅に削減することができた。次年度は今年度の研究経過をもとに合成装置や追加の電気化学測定装置に計画的に支出をし、研究の加速を狙う。
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