2017 Fiscal Year Research-status Report
Metaloxide films deposited by a nonequilibrium 2D plasma in a liquid phase and their application to ye-sensitized solar cell
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17K06817
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
奥谷 昌之 静岡大学, 工学部, 准教授 (00293605)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非平衡二次元プラズマ / 薄膜 / 沿面放電 / 色素増感太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究グループは、大気圧下での誘電体バリア放電により誘導された非平衡平面プラズマを製膜技術へ応用してきた。一般的なプラズマを利用した製膜では、3次元空間にプラズマを発生させ、この空間内に基板を配置する。この方式では、均質な製膜が可能な反面、基板全体がプラズマ内に存在するため、高エネルギープラズマに対する耐抗性・耐熱性が基板に要求される。さらに、パターニングに対し、マスキングやレジストといった追加処理が要求される。一方、従来の分子構造や相互作用を利用した液相からの化学的手法による低温製膜やパターニングにおいて、バルクの液相中では均一分散している修飾子であっても、溶媒を除去する過程で基板からの影響を強く受けて均一性を保つことができず、結果的に不均質な膜が形成される。このような現状にあって、本研究では液相からの製膜でありながら、従来法とは全く異なり、基板上の前駆体液膜へ局所的にプラズマを照射して前駆体を高速分解するだけでなく、局所プラズマによるナノメーターオーダーのパターニング製膜を目的とし、上記の諸問題の解決につながる新たな研究である。 本研究では、この技術をさらに発展させ、液相中に配置した放電電極と製膜基板間の液相をバイアス印加により局所的に排除して微小空洞を形成し、この空間に平面プラズマを閉じ込める新規製膜技術を提案する。さらに、これをダイレクトパターニング製膜技術へと展開する。この成果は、既存のプラズマディスプレイ技術との融合により、微細加工から大面積製膜まで応用範囲の広い革新的技術へ発展することが期待される。さらに、この製膜技術を新エネルギー源として期待されている色素増感太陽電池の集積化(モジュール化)に対する実用的技術へと進展させる。本研究の技術革新は、単なる製膜技術にとどまらず、エネルギー問題や環境問題の解決に向けた社会的ニーズに応えることになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、液中プラズマの製膜技術の確立、およびこれを利用した色素増感太陽電池の作製について検討した。 液中プラズマの製膜技術に関し、アルミナ製の電極固定用改良型ホルダーを設計・作製し、これを利用した製膜試験を実施した。まず、チタンテトライソプロポキシド(TTIP)溶液を満たした容器内にガラス基板とプラズマ発生用電極を0.1 mmの間隔で向かい合わせに固定した。次に、所定比の酸素/窒素混合ガスを電極上部から注入後、放電用電極に所定の電圧を印加して形成された微小空洞内にプラズマを発生させた。この際、毛細管現象により前駆体溶液がガラス基板上に逐次供給され、プラズマ照射による前駆体の分解により膜が形成された。なお、一部の製膜において、電極の両端にネオジム磁石を設置し、磁場をプラズマに印加した状態で上記と同様の手順で製膜を行った。この結果、アナターゼ型TiO2の単相膜の形成に成功した。 色素増感太陽電池の作製に関し、まず開放系における多孔質TiO2層の製膜を検討し、これを色素増感太陽電池へ応用した。TiO2原料溶液をスプレー熱分解(SPD)法により既存のFTO基板上に噴霧し、TiO2膜微粒子層を仮堆積後、この膜をTTIP溶液に約1時間浸漬した。次に、自作電極により大気圧下で非平衡二次元プラズマを発生させ、TiO2膜に照射した。この結果、プラズマ照射によるTTIPの分解にともない、TiO2粒子間のネッキングの促進を観測した。また、太陽電池の変換効率が1%程度の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの開放系での非平衡平面プラズマを利用した製膜で明確になった問題として、発生するプラズマのエネルギー(4~5J/s)は、数秒で有機金属前駆体の分解(酸化)を可能にする量であるにも関わらず、製膜用基板へのプラズマの到達効率が低く、前駆体の分解・結晶化反応を十分に進行させることができなかった。高精密なダイレクトパターニングを実現するために、電極の金属グリッドデザインの微細化だけでなく、磁場印加によるプラズマの3次元的な制御も有効であると考える。一般に、誘電体バリア放電時に発生する高速電子に磁場を印加するとローレンツ力が誘引され、その軌道制御が可能になる。つまり、この電子と雰囲気ガスとの相互作用により発生するプラズマも、磁場の印加で3次元的に制御できることになる。ステッピングモータを設置したラングミュアプローブでこの空間分布を0.01mmの分解能で測定し、製膜へフィードバックする。さらに、基本的なプラズマ制御条件をもとに、パルス波(レンタル機)の新規導入により、プラズマの高エネルギー化だけでなく、電極上のプラズマの空間分布の微細制御を試みる。この際、ラングミュアプローブによりプラズマの空間分布状態を逐次観察する。得られた知見をもとに、ダイレクトパターニング製膜の精度を高める。 上記の成果をもとに、10~5mmのライン状にダイレクトパターニング製膜を実施し、2×2型モジュールを作成する。このモジュールには、直列セルと並列セルの要素をそれぞれを組み込み、モジュール技術を評価する。
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[Journal Article] TiO2/TNO homojunction introduced in a dye-sensitized solar cell with a novel TNO transparent conductive oxide film2018
Author(s)
Masayuki Okuya, Jun Sato, Takeshi Endo, Ryo Iwaki, Shuichiro Takemura, Ryosuke Muramoto, Viola Nagygyourgy, Janos Madarasz, Shoichiro Nakao, Naoomi Yamada, Enju Sakai, Taro Hitosugi,Tetsuya Hasegawa
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Journal Title
Journal of the American Ceramic Society
Volume: 印刷中
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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