2019 Fiscal Year Research-status Report
セラミックス蛍光体の表面修飾における結合構造モデルと発光効率への影響
Project/Area Number |
17K06828
|
Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
小西 智也 阿南工業高等専門学校, 創造技術工学科, 准教授 (90455163)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 希土類イオン / 蛍光体 / セラミックス / 発光効率 / 表面構造 / 分光分析 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
Er3+添加セラミックスナノ蛍光体は,イメージング・認証用の蛍光インクとしての応用が期待されるが,機能化や分散安定化のためポリマーによる表面修飾が必須である.しかし,同時にEr3+の非輻射緩和速度が増大し,発光効率の低下が避けられない.本研究では,結合構造を具体的に分子モデル化し,非輻射緩和速度を検討することで,Er3+の発光効率に及ぼす影響を理論的に解明するとともに、Er3+の発光効率を低下させない結合構造による表面修飾手法の確立を目的とする. これまでの研究により,Er3+添加セラミックナノ蛍光体の表面修飾過程において,処理温度・時間の最適化,溶媒のpH制御,溶媒置換,凍結乾燥を行なうことにより,表面への化学吸着水酸基の導入を抑制した.さらに,表面修飾分子の末端官能基を制御することによっても,化学吸着水酸基の導入を抑制することができた.また,積分球や小型スペクトル測定装置を組み合わせて,Er3+添加セラミックス名の蛍光体のアップコンバージョン発光量子収率,および近紫外励起による蛍光寿命を測定するための光学系を組み上げた.さまざまな表面修飾をほどこしたナノ蛍光体について,添加したEr3+の量子収率,蛍光寿命等の発光特性を分析した結果,発光効率に改善が見られることがわかった.また,アクリル酸以外にも表面疎水化処理に用いる物質を増やし,いくつかの表面結合構造のモデル化を行った.まずは簡単な結合構造のみにおいて振動エネルギーを計算し,赤外分光測定結果との比較を行うとともに,発光効率との関連性について検討を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度において表面修飾の最終段階において予期せぬ水酸基が導入されることがわかった.そのため,水酸基が導入されない処理方法の検討に時間を要し,有効な結合構造モデルの検討開始が遅れたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,より複雑な結合構造まで計算範囲を発展させることにより,発光効率を低下させない結合構造の具体的な分子モデル化を目指すとともに,それを実現するための表面修飾方法に関する指針をまとめていく予定である.
|
Causes of Carryover |
研究代表者のその他の業務増加に伴い,補助事業の実施に割り当て可能な時間配分が申請時に比べて大幅に減少したため,平成31年度の研究計画に遅延が生じたため.
|