2019 Fiscal Year Annual Research Report
High temperature strengthening design based on growth mechanism of grain boundary carbides in high-Cr ferritic heat-resistant steels
Project/Area Number |
17K06839
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
光原 昌寿 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (10514218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高Crフェライト系耐熱鋼 / クリープ変形 / 強化機構 / ラスマルテンサイト / M23C6炭化物 / 結晶粒界 / 電子顕微鏡 / 結晶方位解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高Crフェライト系耐熱鋼の更なる耐熱性向上のため、Crを主成分とする粒界上炭化物の成長挙動に対する粒界性格依存性と応力応答性を多角的組織解析手法により解明し、新たな組織設計・制御方法を提案することを目的とした。 2017年度では、高Crフェライト系耐熱鋼中の炭化物の生成挙動に対する結晶粒界性格依存性(大角粒界において優先的に成長する)と応力依存性(クリープ変形中では成長速度が大きい)を明らかにした。 2018年度では、炭化物の成長には、炭化物/母相間の整合性が関与しており、材料に対して単純な時効を加えるだけでは、一般的な拡散律速の成長則には従わないことを明らかにした。 2019年度は、炭化物/母相間の整合性の要因となる析出時の結晶方位関係を明らかにし、それを満足するか否かによって成長速度が異なることを微細組織観察から明示した。この結果から、“炭化物成長の応力依存性”が、実のところで、クリープ変形中のひずみ増加によって炭化物/母相間が非整合化されることによる効果であるとの新たな知見を得るに至った。 一方で、鋼中での炭化物成長の鍵を握るCrの粒界拡散について、その結晶粒界性格依存性を明らかにするため、SEM-FIB法とTEM-EDS法を組み合わせて、任意の結晶粒界においてCr拡散能を評価する手法を確立した。これを用いて、小角粒界・大角粒界の違いや、リンやホウ素の粒界偏析の有無によって、Cr拡散能が変化することを証明した。その一方、このような粒界性格の変化によるCr拡散能の違いのみでは、2017年度や2018年度に得られた特異な炭化物成長挙動を説明するには十分ではなかった。 本研究で得られた以上の研究成果は、高Crフェライト系耐熱鋼の高強度化に向けて、炭化物成長抑制のための炭化物成分元素調整による格子定数デザインという新たな組織設計の指針を与えるものである。
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