2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K06840
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤井 伸平 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (90189994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 昌和 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (40294524)
小山 佳一 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (70302205)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電子状態 / 磁気特性 / メスバウア分光 / 超微細磁場 / 熱電能と熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
(Mn0.752X0.25)AlGe (X=V,Cr,MnFe)について第一原理計算を実行し以下のことが判明した。強磁磁性状態と常磁性状態の電子系のエネルギー差ΔEと実験から得られるキュリー温度TCは同様の傾向を示すことから、第4元素置換効果のTCへの影響を評価する手段としてΔEは有効である。物質の磁化はMn原子の層とAl及びGe原子からなる層の間の距離の変化に敏感であり、第4元素による置換によりる物質の磁化の増減の実験結果は、2つの層間の距離の変化により説明できることを示した。CoMnGe系についても予備的な計算を開始した。 Mn(Co1-xFex)Ge系でマルテンサイト変態と磁気変態が同時に起きるFeの組成x=0.08で、GeとSnの組成を調整したMnCo0.92Fe0.08Ge1-ySnyで詳細に実験を行った。y=0.05を用いた室温と10Kでのメスバウア分光実験の結果、Feは母相六方晶構造でCoサイトに79%、Mnサイトに21%侵入し、マルテンサイト相でCoサイトに85%、Mnサイトに15%侵入し侵入しているとの結果を得た。また、Coサイトの超微細磁場がMnサイトのそれよりも約3倍大きいことが明らかとなった。つまり、Feは磁気モーメントが大きなCoサイトだけでなく、Mnサイトにも約20%侵入してしまうため、その磁気・結晶特性は試料作成条件に大きく依存することになる。 MAl1-xGe1+x(M:Mn, Cr)及びその関連物質に対する熱電能,熱伝導率測定の測定精度を上げるため,装置の改善を行った。これにより,熱電対へ逃げる熱流を40%程度軽減できた。またMAl1-xGe1+x(M:Cr, x=0)の熱電能測定から,この系のキャリアがホールであることを示す結果が得られた。実験結果と理論班により示された状態密度の計算結果の比較を行い,実験結果を支持することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究者の所属する大学での設備に加え、東北大学金研強磁場センターおよび東大物性研の共同利用装置の利用がスムースに行えたため、「研究実績の概要」に示したように、理論班、実験班ともに当初の研究計画は着実に実行され成果を見出している。また、これらの研究成果は関連学会にて発表しており(国内の学会にて1件、国際学会1件)、さらに、学術雑誌への論文は投稿中を含め2編(掲載済み1篇、投稿中1篇)ある。このようなことを踏まえて、当初の予定通りにおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論班(第一原理計算)(研究代表者:藤井)は、[C] (Mn1-xFex)CoGeと関連物質を対象とし、MnまたはCoの一部をFeで置換すると構造の転移温度が下がるので磁気・構造相転移(磁気状態の変化と同時に構造の変化も起こること)が可能となることを踏まえ、物質の電子状態がどのようにかかわっているのかを明確にするために第一原理計算を実行する。また、H30年度の実験班の物性評価と比較検討する。特にH30年度のFe置換結晶サイトの特定と磁気モーメントのメスバウア実験結果は、第一原理計算と直結した情報を与え、計算結果の妥当性を評価できる。 実験班(分担者:小山・伊藤)は、29年度、30年度の進捗が遅れていれば、引き続き試料合成・評価を行う。また、29-30年度に計算から有用な情報が見つかった場合、追加の試料合成・評価をおこなう。
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Causes of Carryover |
学生の国際学会出席への補助を考えていたが手違いのため未執行となってしまった。また、WSによる計算データのバックアップ等の物品購入を予定していたが、以前導入しているWSの調子が時々悪くなる事態が発生していたので様子をみるため物品購入を見合わせていた。年度末までに新たなWSの導入を検討したが間に合わず31年度早々の導入となった。
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Research Products
(4 results)