2017 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Thermoelectric Clathrate Composites by Nanoscale Control of Interfaces and Textures
Project/Area Number |
17K06841
|
Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
阿武 宏明 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (60279106)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 和也 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 助教 (70756113)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 熱電発電 / 未利用熱有効利用 / クラスレート / シリコン / 元素置換 / ナノ化プロセス / ゼーベック係数 / 熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
省エネルギー・環境共生型社会への転換に向けて、膨大な量の未利用排熱を電気エネルギーに直接変換する熱電発電技術の実用化を加速させるため、高温領域の熱電素子材料として期待される半導体クラスレート材料のナノ界面・組織制御による革新的複合材料を創製し、熱電性能の飛躍的な向上を図る。その材料設計として、(1)ホスト構造の変調を含む新規のクラスレートの創製:多元素置換による四員環導入によるホスト構造の変調、さらにゲスト原子の置換制御を行い、それらと熱電物性との相関を明らかにし、高い熱電性能を実現する構造を見出す。(2)ミスフィットを導入した新規クラスレート複合熱電材料の創製:ナノ界面・組織構造の制御によって飛躍的に熱電性能を向上させるフォノンとキャリア輸送への相乗効果を発現する構造を明らかにする。 (1)ホスト構造の変調を含む新規のクラスレートの創製においては、Si系クラスレートにおける元素置換による構造と熱電特性への効果に関する基礎的な知見を得るために、Si系クラスレートにおいて価電子数の異なる多元素置換によるホスト構造変調の熱電特性への効果を調査した。キャリア濃度が低減してゼーベック係数が増加、さらに格子熱伝導率が低減する効果に優れる置換元素を見出した。従来のSiクラスレートと比べて熱電性能の改善に効果のあることを明らかにした。 (2)ミスフィットを導入した新規クラスレート複合熱電材料の創製においては、遊星ボールミル法を用いたSi系クラスレートの微細化プロセスの条件を見出し、その条件で調製した微細化粉末を出発原料として放電プラズマ焼結法を用いてバルク焼結体を作製し、その熱電特性を調査した。微細化プロセスを経た焼結体では低温域のゼーベック係数が増大し、さらに格子熱伝導率が減少する傾向のあることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)ホスト構造の変調を含む新規のクラスレートの創製において、価数の異なる多元素置換による構造と熱電特性への効果に関する基礎的な知見を得つつあるが、新たに四員環を含む新規クラスレート相ならびに関連化合物を合成する点については当初より遅れている。(2)ミスフィットを導入した新規クラスレート複合熱電材料の創製では、ナノ界面・組織構造制御のためのナノ化プロセスを検討して有益な知見を得ている。また、クラスレートと複合化させるナノ粒子の検討に着手し、候補材料に関する知見を得ており、この点については順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ホスト構造の変調を含む新規のクラスレートの創製:四員環を含む新規クラスレート相ならびに関連化合物の合成において、固相反応法や溶融法等の材料プロセスの検討に注力する。 (2)ミスフィットを導入した新規クラスレート複合熱電材料の創製:初年度で得たクラスレートの微細化手法に基づいて、候補とするナノ粒子とのナノコンポジットのプロセスを本格的に展開していく。さらに、エネルギーフィルタリング効果とフォノンブロッキング効果を相乗的に発現する構造設計と物性評価を進め、材料設計の方向を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当初想定していなかったシミュレーションソフトのメンテナンスが発生したので調整した。調整の結果、初年度の実験消耗品を当初より節約して、2年度の実験消耗品ならびに国際会議等における情報収集・成果発表に充てる予定である。
|