2017 Fiscal Year Research-status Report
金属組成と気孔形態を制御したポーラスメタルコアサンドイッチ構造の開発とその設計法
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17K06842
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇都宮 登雄 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (60176708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半谷 禎彦 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (80361385)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多機能材料 / 環境材料 / ポーラスメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,研究項目(1) 複合化ポーラスアルミニウム(Al)コアサンドイッチ構造の作製法の確立,(2) 単一および複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の強度評価法の構築 を実施した. 研究項目(1)では,アルミニウム合金ダイカストADC12とアルミニウム合金A6061からなる二層構造の複合化ポーラスAlをコア材,A1050を表面材としたサンドイッチ構造の作製を試みた.その結果,発泡剤(水素化チタン)量や発泡時間を制御することで,A6061とADC12層内の気孔形態がほぼ均等な,コンパクト型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造を作製できた.これにより,サンドイッチパネルの多機能化が可能性となることが確認できた.ただし,長尺型の構造については,A6061とADC12層の気孔形態が均等な構造が得られておらず,次年度さらに作製条件の検討を行う予定である. 研究項目(2)では,単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造を作製し,引張りおよび曲げ試験を実施した.その結果,曲げ試験では,コア部の気孔率によって,引張り型の他にせん断型の破損が現れるという新しい知見が得られた.この結果を受け,平成30年度実施の予定であった“積層はり理論”および有限要素解析(ANSYS)に基づく破損応力推定に関する検討を前倒しで行うよう計画変更した.“積層はり理論”および有限要素弾塑性解析によりコア内の応力分布の評価を試み,引張り型破損では,曲げ応力の表面からの平均応力,せん断型破損ではせん断応力の最大値を用いて,各破損形態に対する破損応力を推定できることがわかった.このように,発生する破損形態に対応した形で,単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の強度評価(破損応力の推定)が可能となることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度,計画実施した事項に対して,以下の結果を得ることができた. (1) 発泡剤量や発泡時間を制御することで,A6061とADC12層内の気孔形態がほぼ均等なコンパクト型の複合化ポーラスアルミニウム(Al)コアサンドイッチ構造を作製できた. (2) 単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の曲げ試験では,コア部の気孔率によって引張り型とせん断型の破損が現れるという新しい知見が得られた. (3) 引張り型破損では曲げ応力の表面からの平均応力,せん断型破損ではコア内のせん断応力の最大値を用いて,単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の破損応力の推定が可能となることを示した. 長尺型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製条件を導出するには至らなかった.これは,上記(2)の新しい知見(単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の曲げ試験において,コア部の気孔率によって破損形態が変化する)が得られたため,コア内の応力分布を解析により評価し,各破壊形態に対応した破損応力の推定可能性の検討を前倒しで行った影響によるものである.この検討では,上記(3)の知見が得ることができたため,長尺型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製については次年度継続して行うこととして計画を遂行する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度未完となった,A6061とADC12層の気孔形態がほぼ均等な,長尺型の複合化ポーラスアルミニウム(Al)コアサンドイッチ構造の作製条件(発泡剤量や発泡時間等)に関する検討を継続して行う.検討結果をもとに作製した長尺型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の引張りおよび曲げ試験を行い,コア部を複合化したことによる破損特性(破損位置や破損形態,破損荷重等)の変化について考察する.これらの試験結果は,複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の破損応力推定に関する検討に用いる. 単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の弾塑性有限要素解析(ANSYS)において,表面材とコア部の間に,力学特性値を連続的に変化させることが可能な境界層を設けるように拡張を試みる.この拡張した解析により,コア部および表面材内の応力分布を評価し,この応力分布と試験結果の比較を通して,各破損形態に対応した破損応力推定法(強度評価法)の精度向上を図る. この単一ポーラスAlコアサンドイッチ構造の破損応力推定法を複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の曲げ強度に応用・展開し,その適用性に関する検討を行う.さらに,これまでの検討結果のまとめを行い,複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製法 および ポーラスAlコアサンドイッチ構造の強度評価法 の構築を試みる.
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Causes of Carryover |
平成29年度は,単一ポーラスアルミニウム(Al)コアサンドイッチ構造の曲げ試験において,コア部の気孔率によって破損形態が変化するという新しい知見が得られた.そのため,前倒しでサンドイッチ構造の解析を実施し,コア内の応力分布をもとに,各破壊形態に対応した破損応力の推定可能性の検討を行うように計画変更した.この影響で,長尺型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製および作製条件の検討が十分に実施できず,次年度に継続して作製・検討を行うこととなった. 平成29年度未使用額(472,789円)は平成30年度予算と合算し,計画している長尺型の複合化ポーラスAlコアサンドイッチ構造の作製費,各種試験・解析および検討の遂行経費として使用する予定である.
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Research Products
(4 results)