2018 Fiscal Year Research-status Report
Life prediction of fatigue crack propagation of sintered Ag nanoparticles for power module die attach
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17K06843
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
苅谷 義治 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (60354130)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 銀ナノ粒子焼結接合の疲労信頼性 / パワー半導体モジュール / 疲労き裂進展解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
パワーモジュール用Agナノ粒子焼結接合部の疲労き裂進展寿命予測手法の確立を目指し,本年度は200℃における疲労き裂進展試験を実施し,疲労き裂進展特性の取得および疲労き裂進展則の構築を行った.150℃までの疲労き裂進展特性は温度が上昇するに従い,き裂進展の駆動力に対してき裂進展速度が鈍感となる延性的な性質となることが昨年の研究より得られていたが,次世代パワーモジュールで期待される動作温度である200℃では,組織粗大化により,再びき裂進展駆動力に対してき裂進展速度が敏感となる脆性的な結果が得られた.昨年度の結果と併せ,パワー半導体モジュールの寿命予測に必要となる温度依存の疲労き裂進展特性を揃えた.本年度は,さらに,この結果を用いて,実際のパワーモジュールにおける疲労寿命予測を行うための疲労き裂進展則および有限要素法解析による疲労き裂進展解析手法を検討した.疲労き裂進展則は,従来の破壊力学手法であるJ積分を用いるのではなく,疲労き裂進展の駆動力パラメータに有限要素法解析でより使いやすいひずみエネルギー密度を用いたものとした.ただし,ひずみエネルギー密度を用いた場合,J積分のような経路独立の性質が無く,ひずみエネルギー密度が要素分割やき裂先端からの距離に依存する問題が生じるが,き裂先端に生じるひずみエネルギーの特性を利用し,有限要素法解析上でひずみエネルギー密度におよぼすこれら要素分割とき裂先端からの距離の依存性を軽減し,J積分同様の経路独立性を持つ新たなひずみエネルギー密度の計算方法を考案した.この手法により簡便に実機の疲労き裂進展寿命予測を行えることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度計画した通り,高温における疲労き裂進展試験の実施を行い,温度毎の疲労き裂進展特性のデータを揃えることを完了したこと,また,有限要素法解析による実際のパワー半導体モジュール構造における疲労き裂進展解析手法の検討を行い,有限要素法解析にて比較的簡易に疲労き裂進展解析を行える手法を見いだせたので,当初の計画に対して研究が概ね順調に進展していると判断される.ただし,有限要素法解析による疲労き裂進展解析手法の確立に注力したため,高温疲労き裂進展試験後の破壊機構解析が完了出来なかった.この解析に関しては来年度に実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,破壊力学手法とは異なり有限要素法解析でひずみエネルギー密度を計算し,この値を用いてAg焼結接合部の疲労き裂進展を再現する手法を考案したので,来年度はこの手法をユーザーサブルーチンで有限要素法解析ソフトウェアに組み込み,自動で疲労き裂進展解析が行えるように本手法を最終的に仕上げる.また,来年度は,実際のパワー半導体モジュール構造でパワーサイクル試験もしくは温度サイクル試験を行い,本年度まで検討してきたAgナノ粒子焼結接合部の疲労き裂進展予測手法の妥当性と精度確認を行う.パワーサイクル試験もしくは温度サイクル試験に使用するパワー半導体モジュールは,IGBTチップとダイオードを絶縁基板にAgナノ粒子を用いて搭載した汎用モジュールに準拠した構造とし,これを作成する.このパワー半導体モジュールを用いてパワーサイクル試験結果と有限要素法解析による予測結果の比較を行い,予測精度確認を行うとともに,寿命予測上の問題点を修正し,最終的にパワーサイクル中のAgナノ粒子焼結接合部の疲労き裂進展予測手法として提案を行う.
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Causes of Carryover |
学会発表旅費が計画より少なかったことにより次年度使用額が生じた.次年度は国際会議を含め,多くの発表を予定しているので,次年度使用額は旅費で使用する予定である.
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