2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of high capacity and low cost hydrogen storage materials using self-organization induced by hydrogenation
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17K06853
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
浅野 耕太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (30415640)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水素貯蔵材料 / 非平衡合金 / クラスター構造 / Mg水素化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で主として取り扱う水素化物は、Mg2FexSi1-xで表される非平衡合金を水素ガス中で特定の熱処理を施すことで得られ、これまでの研究によりナノメートルオーダーで局所的にMg2FeH6とMg2Siが生成していることが明らかになっている。注目すべきは両者は同じ面心立方(FCC)構造をもちコヒーレントに繋がりうる点である。Fe組成xが高いと(x>0.5)、Mg2FeH6およびMg2Si相への分相が観察されたが、Si組成が高いと(x<0.5)、Mg2Si基質組織中にナノメートルサイズのMg2FeH6が生成することが透過型電子顕微鏡(TEM)観察および放射光X線全散乱実験による二体分布関数(PDF)解析により示唆されていた。本年度はMg2FeH6生成の明確な証拠を得るために、Mg2Fe0.25Si0.75-Hの組成に集中して水素化物作製および構造解析等を実施した。Mg2FeH6はMg2+および(FeH6)4-からなるイオン性の化合物であり、Fe原子の周りに6つのHが配置する構造をもつ。はじめに固体NMR実験によりH周りの状態を明らかにすることを目指したが、Feのもつ磁性によりNMRシグナルがブロードになり、構造の詳細に関する情報を引き出すことは困難であった。そこでこれまでに比べて原料金属の残存が少ない高品質な試料作製を行い、それを用いたX線回折および放射光X線全散乱実験により得られた構造情報の詳細を現在解析中である。 次年度は研究計画の通り、これまでに試作した材料の構造と水素化物の安定性の関連性を明らかにしつつ、他の金属元素の添加なども実施して、低コストの水素貯蔵材料開発を継続して行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画における平成29年度の計画に沿って、Mg2Fe0.25Si0.75-Hの組成に絞り、水素化物の合成と構造解析等を進めることができた。放射光X線全散乱実験により得られた二体分布関数(PDF)解析を実施中であり、詳細な構造情報を基として本研究の目的である水素化物の安定性制御を目指した元素添加・置換等を試みていく。
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Strategy for Future Research Activity |
既述と通りナノメートルサイズのMg2FeH6を有するMg2FexSi1-x-Hの構造解析を継続すると共に、平成30年度はデルフト工科大学(オランダ)に赴き、粉体試料のみならず薄膜試料の観点からも新規組成材料の探索を実施する。また、Fe以外の遷移金属元素を添加あるいは置換することにより、本研究の目的である水素化物の安定性制御を試みる。
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Causes of Carryover |
実績報告の通り研究は概ね順調であるが、平成29年度は水素化物の構造解析を重視して研究を実施したため、当初計画していたデルフト工科大学での新組成探索に関する実験が次年度にずれ込んだことが主要因である。平成30年度前半に現地に赴き計画していた実験等を行う予定である。さらなる残額については平成30年度に実施する新組成水素化物作製に要する原料金属等の購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)