2017 Fiscal Year Research-status Report
物理・化学的機能性付与による高機能有機材料表面形成技術の開発
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17K06859
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 弘祐 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (60432423)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面改質 / マルチマテリアル / 構造部材 / PEEK |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造・機能材料の抜本的な軽量化に向けて、有機材料に新たな機能を付加して適材適所に使用するマルチマテリアル化により、新規エンジニアリング部材創成に革新的なブレークスルーをもたらす技術開発を念頭に、化学・物理的機能性付与による高性能・高機能有機材料表面形成のための非平衡プラズマの高活性な反応場を用いた有機材料表面への改質および薄膜形成技術の開発と、革新的構造材料創成のための技術確立を目的とする。 有機材料の最表面の構造の精密制御し、その表面に官能基付与し、物理的・化学的に機能性を有する表面改質および薄膜形成技術開発を念頭に、イオン・ラジカル・光を制御した低圧プラズマを生成し、このプラズマと生体材料応用で有望視されているPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)との表面相互作用の解明に向けた研究を推進している。高性能・高機能有機材料表面形成のための非平衡プラズマ制御技術として、イオン・ラジカル制御に加えて表面に微細な構造物を形成するためにスパッタ源を有するプラズマ源を作製し、その特性を測定した。その結果、基板に入射する粒子種のエネルギーは10eV程度と非常に低いエネルギーであることが明らかとなった。そのことは、本装置を用いることにより表面処理を行う際に有機材料の最表面の損傷を抑制できるこを示唆しており、本装置は高性能・高機能有機材料表面形成のための非平衡プラズマ生成に適した装置であることがいえる。本研究の成果はプラズマによる表面改質制御製膜技術および物理的構造形成技術の発展に向けた貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は高性能・高機能有機材料表面形成のための非平衡プラズマ制御技術として、イオン・ラジカルを能動的に制御し、有機材料への入射束を制御する技術の確立と、これらの技術を用いてプラズマによる有機分子の励起、解離反応過程の解明を目標に研究を進めてきた。まずイオン・ラジカルを能動的に制御するための非平衡プラズマ生成装置の立ち上げとその性能評価を行った。本装置を立ち上げるに当たり、イオン・ラジカル制御に加えて表面に微細な構造物を形成するために、スパッタ源を有するプラズマ源を作製し、その特性を測定した。イオンエネルギーをエネルギー分解型質量分析装置で測定した結果、プラズマ源で生成したイオン、スパッタ源で生成したプラズマから入射する粒子種のエネルギーはともに10eV程度と非常に低エネルギーであることが明らかとなった。すでに先行研究でPET(ポリエチレンテレフタレート)への照射実験において、有機材料とプラズマとの相互反応においてイオンエネルギー10eV以下においては有機材料の最表面の損傷を抑制できることが明らかとなっている事から、本装置は高性能・高機能有機材料表面形成のための非平衡プラズマ生成に適した装置であることがいえる。すでにプラズマとPEEKとの相互作用の解明に関する実験に取りかかっている。まずは先行研究で得られたPETの実験結果とPEEKと結果を比較し、有機材料・プラズマ相互作用の材料による相違を明らかにしていくべく研究を推進中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は非平衡プラズマ源を用いて、有機材料表面へのプラズマ表面改質技術の開発と化学的特性の解析を行う。プラズマからの粒子入射による影響を調べるために、光電子分光法(XPS)を用いた化学構造の解析により最表面の化学的特性の変化、および官能基の付与の有無について測定する。また、表面電位の値の変化を化学的特性の違いとして認識し官能基等の分子の異なりについて検出するケルビンプローブフォース顕微鏡を用いて、最表面の官能基等の位置・種類を検出し、その特性について調べる。官能基の中でも異材との親和性を考慮して、まずヒドロキシル基(-OH)、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基(-COOH)に着目し、それらの官能基付与について調査する。 さらに、非平衡プラズマ源を用いた有機材料表面へのプラズマ表面加工技術の開発と物理的特性の解析を行う。バイオミメティクスに代表される生物のもつナノメートルスケールでの3次元微細構造をヒントに、有機材料表面の形状を制御することによる、高機能有機材料表面創製プロセスの実現を目指す。これらの研究で得られた知見を基に、生物のもつ『かたち』を人工的に模倣し、それを工学的な機能材料の開発へと結びつけることによって、生物の機能を超える新しい高機能有機材料の創製を行う。イオン・ラジカル制御した等方性・異方性プラズマエッチングにより有機材料表面へ3次元微細構造を形成し、その表面形状を原子間力顕微鏡(AFM)、および走査線電子顕微鏡(SEM)を用いて評価する。異材との接合・接着を考慮した機能発現に関する物理的特性を検討する。
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Causes of Carryover |
プラズマ生成装置の作製し実験を開始しているが、予定していた測定を行う事ができなかったため、測定系に必要装置の購入することや、実験精度向上のための装置改造等を行うのに必要な機材購入のために、また次年度の研究進捗に合わせて表面の物理的・化学的状態の委託分析等を行う予定のため、本年度の研究費を次年度に繰り越した。本申請における研究費は、研究計画・方法で述べた実験・測定に必要な部材の購入に要する費用に充てる。物品費は、プラズマ源を改良するための特注の真空部品や、気相測定や薄膜の物性測定を行う部材、有機材料基板のための使用する製膜用材料や薬品、および高純度ガスの購入に要する費用に充てる。 旅費等の細目に計上した経費は、本研究の成果を論文ならびに国内外の会議において発表するため要する投稿料、旅費に充てる。
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Research Products
(1 results)