2018 Fiscal Year Research-status Report
アルミニウム合金と炭素繊維強化熱可塑性樹脂の摩擦点接合における接合条件の検討
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17K06872
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
清水 利弘 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70196525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 裕紀 豊田工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (10612939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 摩擦攪拌接合 / 摩擦攪拌点接合 / 樹脂/アルミニウム合金異種接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルミニウム合金1000番台とABS樹脂との摩擦攪拌点接合および,摩擦攪拌接合による重ね合わせ継手の作成に成功し,作成した継手の強度の評価を行った.その結果,樹脂と金属の混合物が生成した場合,継手の強度が上がることが見いだされた.当年度に高速度カメラを導入し,透明な樹脂であるポリカーボネートを用いて,点接合における樹脂と金属の混合の様子を動画で観察することができた.その結果,ポリカーボネート樹脂の,工具から離れた部位に,変質が表れていることが観察できた.作成した継手を切断して,アルミニウム合金の部分の硬さをマイクロビッカース装置で測定したが,接合部の硬さには低下が確認できた. 次に,重ね合わせ継手を作成する際の表面の性状に注目して,継手表面に発生する溝やバリを取り除く工具の工夫を取り入れた.その結果,アルミニウム合金1000番台および,3000番台においては,溝やバリの発生の少ない滑らかな表面の継手を作成することができた.表面の性状と,継手強度の関係については現在評価を進めている.また,研究報告が少なく,より実用的であると考えられるジュラルミンとアクリル樹脂の接合に関して,条件を探っているところである. 様々な実験を繰り返すことによって,表面の性状は,試験片表面からのショルダーの高さ,内部の接合の条件は工具の回転当たりの送り速度でまとめることができることがわかった.しかしながらジュラルミンは,純アルミニウムより強度が高く,また粘性も大きいため,作成した工具が折損することが多く,現在差的な条件を求めて実験条件を変えて接合試験をしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定としては複合材料との点接合を想定していたが,現在,送りを含めた摩擦攪拌継手を作成する線接合に取り組んでいる.これは,このほうが作成の仕方によっては表面性状もよくすることができて実用的であると考えたからである.また,現在は,接合のメカニズムを知るために高速度カメラを用いて接合の場面をその場観察することに取り組んでいる.このため,視野を遮らない透明な樹脂を用いている.これは当初予定していなかった取り組みであり,このため,複合材料との接合に現在は基本的な条件を特定するために複数の種類のアルミニウム合金と透明な樹脂(ポリカーボネート,アクリル樹脂,PET樹脂など)との接合条件を検討しているところである.しかしながら,複合材料の多くは透明な樹脂をマトリックスとしていることもあって,接合機構のその場での観察は,この最終の目標に向けてより多くの知見が得られ,有益であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ジュラルミンはアルミニウム合金の中でも強度が高く,接合が出来れば,実用性も高いと思われるため,現在続けているジュラルミンとアクリル樹脂の摩擦攪拌接合条件を決定する.ジュラルミンが接合できない時は5000番台アルミニウムの接合を試みる.接合条件が定まれば,複合材料とアルミニウム合金の接合を検討する.また,これらの接合について3000番台や1000番台,5000番台のアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂との接合のその場観察を行う.現在の観察手段では,点接合の観察を樹脂裏面および,側面からの観察が可能であるが,重ね合わせ継手を作成する際の線接合の観察を可能にするための冶具を作成する.また,接合の機序が異なると考えられる突合せ接合について,その場観察も含めて検討を開始する.
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Causes of Carryover |
海外の学会での発表を企画していたが,国内のシンポジウムでの発表となった.また,当初の予定のCFRP試験片を樹脂の試験片で実験を行っているため,試験片材料費が低下した.
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