2017 Fiscal Year Research-status Report
光硬化法による3次元シリカガラス構造の省エネルギー製造プロセスに関する研究
Project/Area Number |
17K06876
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤野 茂 九州大学, グローバルイノベーションセンター, 教授 (10304833)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シリカ / ガラス / 焼結 / 光重合 / 光透過性 / ガラス構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
光・電子部品産業ならびに医療機器向けに、安価で高性能光学ガラス部品(複雑形状を有する3次元構造ガラス)の開発が望まれている。しかしながら、製造プロセスの複雑さ、多大な熱エネルギー消費等の問題により、高純度3次元シリカガラスの製品化は行われていない。本研究では申請者が近年、開発したLED光照射による3次元構造シリカガラス製造プロセスの構築を目的とする。具体的にはガラス製造の出発原料である光硬化性モノマー溶液中のシリカナノ粒子特性と光照射条件の相関を明らかにし、大量生産技術のために不可欠な製造時間の短縮化ならびに樹脂成形と同様の生産性の高い成形方法を用いたシリカガラスの省エネルギー製造プロセスを提案する。 本年度はシリカスラリー中の粒子サイズ、分散・凝集ならびに粘性挙動について実験を行った。粘性のpH依存性を調べると、中性のとき粘性が高く、酸性および塩基性のとき粘性は低下した。粒子の分散、凝集形態を知るため見かけの粒子表面電位であるゼータ電位の測定を行うと、ゼータ電位が0付近のpH=3では分子間引力により粒子が凝集し、みかけの粒子径が約600nmに増加した。ゼータ電位が0付近のpHでは、凝集粒子サイズが大きくなり、粒子間距離が長くなることで三次元的なネットワーク構造を組むことが困難となるため、粘性が低下したと考察している。その結果、シリカのスラリー中の固体体積分率を上昇されることが可能と示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究を進めていく中で、3次元構造体製造に必要な実験条件を見出したことにより特許出願を行った。更にJST 大学発新創出プログラム、研究題目「多様な形状と機能性を有するシリカガラス製品を低コストで製造する技術の事業化」に採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
シリカナノ粒子/光硬化性モノマー混合溶液中のシリカの粒子サイズ、分子構造の違い、pHおよび組成比の違いによる光照射時における粘性変化を計測し、それらの相関とガラスの性質に及ぼす細孔分布、空隙率と焼結性、透明性の影響を明らかにすることを目的とする。
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