2017 Fiscal Year Research-status Report
エントロピー型溶解度パラメータに基づく高圧物性の体系化と予測シミュレーション開発
Project/Area Number |
17K06884
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大田 昌樹 東北大学, 工学研究科, 助教 (50455804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 巧 東北大学, 工学研究科, 学術研究員 (20637243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 溶解度パラメーター / 溶解度 / 気液平衡比 / 二酸化炭素 / エタノール / 水 / 亜臨界流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,独自開発した新しい熱力学量(eSP値)の実学的応用に向けて,固体eSP値の簡便的定量法の開発およびeSP値に基づく高圧物性の理論体系化という2つの課題の克服を目指す.特に平成29年度は,課題克服のため新たに考案した状態式による固体eSP値の定量技術の確立と高圧物性(固体溶質の溶解度および気液平衡比)との相関関係の定量的把握に取り組む.実験対象は,自然界に4,000種以上の存在が知られるフラボノイドや800種以上の存在が知られるカロテノイドなどから数種を選定した結果,二酸化炭素+エタノール+水系における対象溶質の高圧気液平衡は,対象溶質の親水性基数(ヒドロキシル基数)の増加に伴い減少することがわかった.すなわち,高圧流体(溶媒)の極性が増加することで溶質が液相側に分配され易くなることが判明した.この結果の応用例として,ビール原料ホップエキスの高圧向流接触型抽出実験を実施したことろ,香気成分と苦み成分を高温高圧ほど高選択的に分離できることがわかり,この内容について投稿論文として纏めることができた.また,eSP値に基づくビール原料ホップエキス中主要7成分の高圧気液平衡比の予測モデルも検討し,投稿論文中に記載した.固体溶質の超臨界流体中の溶解度については,助溶媒(エントレーナ)を含む系においてeSP値との相関の可能性が示唆されたが,助溶媒無添加系,すなわち超臨界二酸化炭素中の固体溶質の溶解度については,温度,圧力,モル体積に関する無次元数(還元値)に基づく数学的表現が可能であった.現在,助溶媒を含む系への展開を見据え,データベースの作成ならびにモデルの構築を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は,オリジナルのパラメータであるエントロピー型溶解度パラメータの実学的応用を目指し研究を進める予定であったが,さらなる応用展開として無次元数化も実行するこができた.これより,当初の計画以上に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
エントロピー型溶解度パラメータによる高圧物性の体系的整理も勿論重要だが,それ以上に無次元溶解度パラメータを確立していきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
他の予算での補充により,予定していた消耗品類の購入が若干少なく済んだため.
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Research Products
(10 results)