2018 Fiscal Year Research-status Report
粒子状物質の成分分離およびマイクロ波による粒子合成への振動流動場の利用
Project/Area Number |
17K06891
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福井 国博 広島大学, 工学研究科, 教授 (60284163)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 智典 広島大学, 工学研究科, 助教 (00589187)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | マイクロ波 / 複合酸化物 / ナノ粒子 / 振動流動層 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から検討していた振動流動層型マイクロ波加熱反応装置の構築において、横型振動を採用し、定在波式とキャビティー式のマイクロ波照射法を比較検討した結果、キャビティー式がより効果的で制御しやすいことが判明した。この知見を基に振動流動層型マイクロ波加熱反応装置を完成させた。なお、原料供給と集じん装置による製品回収を連続的に行えるようにも構成した。 また、この装置を用いて機能性粒子の合成を試みた。すなわち、CoCeZr触媒ナノ粒子を合成した。その結果、共沈法などよりも、微細化され比表面積が大きく、粒子表面でCo含有率が高いナノ粒子を合成できた。さらに、その触媒性能についても評価した。 また、当初予定とは別に、振動流動走における凝集粒子生成メカニズムを検討した。その結果、Ergun式を用いて凝集体サイズの経時変化を評価できることがわかった。 次に、反応場内の電磁界強度・伝熱3次元連成シミュレーションを行った。電磁界強度分布のシミュレーションには、伝送線路法(TML 法)を用い、被加熱原料の吸収エネルギー(電力密度)がすべて熱に変換されるとして、熱伝導や自然対流なども考慮した熱流体シミュレーションから温度分布を算出した。その結果から、反応の経過に伴いヒートスポットが形成される位置や強度は反応物質の誘電損失などの物性値で大きく変化することが明らかとなった。 この知見を基に、装置のさらなる最適化を実施し、ナノ粒子合成反応の均質化や反応時間の短縮による低コスト化を実現する見通しが得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に実施を予定していた「振動流動場を利用した成分分離プロセスの構築とその利用」については、粒子径や密度がほぼ等しく凝集特性が異なる2種類の粉体から成る混合粉体に対して、振動流動場による成分分離効果を評価できた。すなわち、粗大凝集粒子の生成割合, 粒子径に加えて、粗大な凝集粒子中に特定成分が濃縮されているか、粗大粒子が位置偏析するかを確認することはできたが、最適な振動流動条件を実験的に明らかにすることまではできなかった。さらに、亜鉛含有ダストからの亜鉛成分の分離濃縮回収やバイオマス発電燃焼灰中のカリウム成分の分離濃縮回収への応用についても実施できたが、 多数の細管を並列に配置し、超音波振動を利用して粒子を連続的に輸送させながら流動化させる反応・分離プロセスの連続化・大規模化については検討できなかった。 以上のように、一部の検討項目において、十分な検討がまだなされていないために、(3)と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の未検討項目に注力すると共に、予定していた計画に沿った研究を着実に実施し、当初の目標を達成する研究成果を出すように努めたい。 平成31年度(令和元年度)の検討項目として以下の二つを予定している。「PIV 測定とシミュレーションによるプロセスの最適化」今年度開発したシミュレーションをマイクロ波反応装置に適用し、実験的に最適化した結果と比較検討する。また、PIV 測定によって振動流動場の粒子・流体挙動を測定し、CFD シミュレーション結果と比較しながら、分離プロセスを最適化することにより各プロセスの設計指針を与える。 また、「マイクロ波加熱式熱重量分析装置の開発と反応促進機構の解明」ではマイクロ波加熱式熱重量分析装置を開発する。一定温度上昇速度下における吸収マイクロ波と試料質量変化を同時に正確に実測できる構造とし、反応の進行の関係を従来の加熱法と比較する手法により、学術的に重要なマイクロ波加熱の熱的・非熱的効果や反応促進メカニズムを解明する。 以上により、本申請研究の総括を行うことにしている。
|
Causes of Carryover |
「亜鉛含有ダストからの亜鉛成分の分離濃縮回収」や「バイオマス発電燃焼灰中のカリウム成分の分離濃縮回収への応用」について検討を実施する予定であったが、検討を実施するに至らなかった。 さらに、多数の細管を並列に配置し、超音波振動を利用して粒子を連続的に輸送させながら流動化する装置を開発することで、振動流動場を利用した反応・分離プロセスの連化・大規模化を実現する予定であったが、基礎的な見当までは終了できたが、完結には至れなかった。これらに該当する経費を使用できていないので、次年度使用額が発生した。令和元年度の検討項目に加えて、上述の検討項目も実施することで、経費を予定通りに執行する。
|