2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of nano-porous membranes and study on the influence of water vapour
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17K06893
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
熊切 泉 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20618805)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 無機ナノ多孔質膜 / 水素 / 炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜分離法は分離工程の省エネルギー・省スペース化や、反応と分離を複合化した新規なプロセスの基盤技術として期待されており、様々な膜の開発研究が進んでいる。例えば、ナノ多孔質な無機膜の一種である炭素膜は、極めて高い水素分離性能を示す反面、水素の透過性が低い課題がある。そこで本研究では炭素膜の水素透過性の向上を、炭素膜の前駆体への鉄添加と焼成温度の調整により行うことを試みた。H29年度は、酢酸鉄を添加したオルガノソルブリグニン前駆体で、管状の多孔質セラミック支持体の外表面をコートしたのちに、窒素雰囲気下で焼成して炭素膜を得た。同様の手法で作製した自立炭素膜中の鉄の分布をEPMAとTEM-EDSで分析し、鉄元素が炭素材料全体にほぼ均一に分布していることを明らかにした。これまでに報告されている金属や無機粒子を添加した炭素膜の多くは、炭素膜中に数~数十nmの大きさの金属や無機の粒子が分散した構造をしている。また、それら粒子の特異な吸着性を利用して、膜の分離性能の向上を試みたものが多い。これに対し、本研究では、数nm以下のサイズの非結晶性とみられる鉄が分散した膜を得ることができた。このような微小な鉄粒子の添加により、炭素膜は水素透過性を維持したまま、水素選択性が大きく向上した。同様の傾向が、オルガノソルブリグニン前駆体に限らず、汎用的なフェノール樹脂前駆体でも見られることを見出した。微小な鉄粒子により、ウルトラミクロ孔(<0.7nm)の径が狭まり、ネック構造の細孔を形成した可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度に予定していた、1. 鉄の添加量や焼成条件等を変化させて、炭素膜を製膜する。2.鉄を含む膜の構造を分析し、鉄を含まない場合と比較する。3. 操作条件(温度・圧力)を変えて乾燥ガスの透過測定を行う。2.の分析結果と併せ、膜の微細構造や透過性に与える鉄の影響を明らかにする。 4.水蒸気を含むガスの透過試験装置を製作する。 を行った。さらに、H30年度に予定していたリグニン以外の前駆体への展開も行い、本コンセプトが 有効であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、炭素膜の形成や透過性能に与える金属添加の影響を検討する。加えて、無機ナノ多孔質膜の実用化の検討の基盤となる、水蒸気の影響に関する知見を獲得する。必要に応じて、表面修飾による水蒸気の影響の低減法を開発する。
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Causes of Carryover |
成果発表を、2018年度の国際学会(Euromembrane 2018年7月9-13日バレンシア、スペイン)で行うこととした。この為、2017年度に予定していた旅費の一部を2018年度に用いることとした。
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