2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of monolithic high-speed adsorption filter immobilizeing nano- or micro-particles
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17K06896
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
塩盛 弘一郎 宮崎大学, 工学部, 教授 (80235506)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒ素吸着 / 凍結ゲル / ナノ微粒子 / 酸化水酸化鉄 / 層状複水酸化物 / カラム吸着 / X線光電子分光分析 / 吸着化学種 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.層状復水酸化物を内包した凍結ゲルの調製とヒ素の吸着特性:Mg-Al系層状複水酸化物(LDH)微粒子を内包したポリアクリルアミド凍結ゲルのヒ素吸着特性を調べた.LDHの加熱分解前後の重量変化の関係より,Mg-Al-LDH凍結ゲルのLDH内包量は0.4~0.5g-LDH/g-凍結ゲルであった.LDHあたりのヒ素吸着量は,凍結ゲルに内包した事で約半分と低下した.XRD測定より,凍結ゲルにLDHを内包する過程で層間へモノマーが浸透し重合するため,細孔の閉塞や層状構造の破壊が示唆された.Mg-Al-LDH凍結ゲルのヒ素吸着速度は,FeOOH凍結ゲルより遅いが,吸着平衡に速く達した.LDH凍結ゲルによるカラム連続吸着での最大吸着量は回分吸着の場合と同じであった.Mg-AL-LDHによるヒ素吸着は、FeOOHによるヒ素吸着と異なる機構で起こることが示唆された.
2.FeOOH凍結ゲルカラムによるヒ素の連続吸着特性と吸着種分析:FeOOH凍結ゲルのカラム連続吸着のヒ素の破過挙動を連続吸着モデルに基づき解析した.ヒ素最大吸着量は,回分吸着の約2倍であった.破過曲線は,連続吸着モデルの計算結果とほぼ一致した.FeOOH凍結ゲルにヒ素を最大量吸着させた試料を凍結乾燥し、ESCAで表面を分析した.酸素1sのピークが吸着後に大きく変化し,水酸基などの含酸素官能基の存在比が大きく変化した.これより表面でヒ素が複合酸化物を形成して吸着されている事が示唆された.
3.有機溶媒の凍結状態を利用した多孔質ゲルの調製条件の確立:氷酢酸またはジオキサンを溶媒としてジビニルベンゼンモノマーと重合開始剤を溶解し凍結状態で重合することにより多孔質凍結ゲルを調製できる条件を探索し、多孔質ポリマーを調製できた.得られた多孔質ポリマーをSEM観察および金属抽出剤を含浸させ、銅を抽出出来ることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
代表者が体調を崩し,2017年8月下旬から11月上旬までに入退院や治療のため研究に従事できなかった.このため研究全体の進捗が遅れている. Mg-Al系層状複水酸化物(Mg-Al-LDH)の微粒子を内包した凍結ゲルを調製方法を確立し,ヒ素の吸着特性を明らかに出来た.また,酸化水酸化鉄のナノ粒子を内包した凍結ゲルのヒ素の吸着特性も明らかにし、吸着種をESCAにより分析し、吸着機構を推定し、Mg-Al-LHDとの吸着特性の違いも明らかにすることが出来た.さらに、有機溶媒の凍結状態を利用した多孔質ポリマーの調製条件を探索し、調製できる条件を明らかにした.2018年度はかなり進捗することが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
1.層状復水酸化物によるヒ素の吸着機構の解明:層状複水酸化物によるヒ素の吸着種をESAC、FTIRおよびラマン分光法により分析し明らかにする。さらに、クロム等の有害重金属の吸着特性も明らかにし,有効性を確認する. 2.有機溶媒の凍結状態を利用した疎水性多孔質ゲルの調製条件の確立:2018年度に探索した調製条件を基に調製条件を検討し、調製方法を確立する.調製した多孔質ゲルをSEM等で表面や多孔質構造を確認する.また,抽出剤マイクロ粒子を固定化した球状粒子および凍結ゲルについて重金属の抽出特性と抽出速度について解析を行う.これにより液相マイクロ粒子を固定化したゲル材料の設計指針を確立し,分離を実証をする。 3. 多孔質ゲルを用いた大型の吸着フィルターの調製と吸着特性:これまで確立した多孔質ゲルの調製方法を用いて100mL以上の大容量または100mmの大面積の多孔質ゲルフィルターを調製する.ゲル内に層状複水酸化物,酸化水酸化鉄ナノ粒子,液相マイクロ粒子を内包固定化して,ヒ素および重金属の除去・分離特性を明らかにし、分離プロセスを構築する.
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Causes of Carryover |
2017年8月中旬より11月まで代表者の体調不良により入退院と治療を行ったため2017年度に次年度使用額が多くなり、2018年度で解消を試みたが、次年度使用額が生じた.2019年度でナノ・マイクロ粒子の多孔質ポリマー粒子への内包固定化に利用する液中乾燥用の真空ポンプ、凍結ゲル調製用の凍結水相の冷媒等、電子顕微鏡観察試料作成用の器具とスパッタリング原料等を購入予定であり、その他に必要な実験器具類および消耗品等を購入し、当初の2019年度使用額と次年度使用額を合わせて支出する予定である.
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