2017 Fiscal Year Research-status Report
有害アラームによるプラント事故防止のための論理アラーム処理技術の開発
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17K06909
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
野田 賢 福岡大学, 工学部, 教授 (60293891)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | プラントアラームシステム / アラームシステム / 論理アラーム処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
アラームの洪水や連鎖アラームなどの有害アラームを原因とするプラント事故が、国内外で多発している。本研究では、このような有害アラームを原因とするプラント事故の削減を目的に、有害アラームによるオペレータの重要アラームの見落としや異常診断ミスなどが起こりにくいヒューマンエラー抑制効果の高い新しい論理アラーム処理法を提案する。 平成29年度は、有害アラーム発生時のオペレータの異常診断プロセスを認知情報処理のレベルで詳細に模擬できる異常診断シミュレーション環境を構築した。プラントダイナミックシミュレータとして実績のあるAspen HYSYS(アスペンテック社製)と科学技術計算ソフトウェアMATLAB(マスワークス社製)を用いた。 つぎに、オペレータの操作履歴から異常診断ミスの発生を予測する異常診断ミス発生予測手法について検討した。過去の研究より、オペレータモデルにより導出した標準的な異常診断プロセスと実際のオペレータの操作履歴の乖離が大きくなったとき、異常診断ミスの発生を予測する方法が考えられた。しかし、どの程度の乖離が見られたときに異常診断ミス発生の可能性が高くなるかについては、引き続き検討課題として残った。 最後に、論理アラーム処理アルゴリズムについて検討した。具体的には、短時間に多数のアラームが発報するアラームの洪水が発生した時に同じ種類のアラームを一つに集約したり、発報したアラームの中で重要度の低いものを一時的にオペレータから隠したりすることで、ヒューマンエラーの発生を防止するアルゴリズムが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を進める上で基盤となる異常環境シミュレーション環境は予定通り構築できた。異常診断ミス発生予測手法については、プロトタイプは作成できたが、オペレータモデルにより導出した標準的な異常診断プロセスと実際のオペレータの操作履歴の乖離がどの程度大きくなったときに異常診断ミスの発生を予測するのかという課題が残った。今後、豊富なプラント運転経験を有する研究協力者に助言を求め、課題の解決を急ぎたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で検討する論理アラーム処理アルゴリズムを絞り込み、処理プログラムを作成する。異常環境シミュレーション環境で、有害アラームが発生したときの異常診断シミュレーションを行い、オペレータの異常診断データを収集する。収集データには、オペレータの認知情報処理プロセス、異常診断時間や成功率、発生したヒューマンエラーの種類などを予定している。
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Causes of Carryover |
平成29年度に購入したパソコンの価格が当初の想定よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。平成30年度の消耗品費の一部として使用する予定である。
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