2018 Fiscal Year Research-status Report
量子化学計算を活用したフローマイクロ合成による新規アミン創製法の構築
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17K06910
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Research Institution | Research Institute of Innovative Technology for the Earth |
Principal Investigator |
山田 秀尚 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 主任研究員 (60446408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永木 愛一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80452275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アミド / アミン / 遷移状態解析 / 絶対反応速度論 / 比誘電率 / フロー合成 / マイクロリアクタ / 連続誘電体モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、フローマイクロ法が得意とする不安定中間体を経由する有機合成を対象として、反応系の分子構造から量子化学計算に基づいて第一原理的に反応スキームを設計する理論モデルを構築することを目的とする。フローマイクロ合成では、反応系の液混合および反応時間をマイクロ構造のデバイスを用いてミリ秒オーダーの時間分解能で制御することができるが、そのデバイス設計にあたっては試行錯誤的な最適化が必要となる。本課題では、反応経路上の遷移状態構造およびその電子状態を理論的に予測し、計算から得られる熱力学諸量をパラメータとして、フローマイクロリアクターおよび合成反応条件の最適化を試みる。二年目にあたる本年度は、具体的な合成反応をターゲットとした検証実験および昨年度までに構築を進めた量子化学計算モデルを用いた理論解析を行った。ターゲット反応として、酸ハライドにアミンを塩基溶液共存下で反応させてアミドを得るショッテンバウマン反応を採用した。フローマイクロリアクターを用いた実験では、リアクター長および内径を変えて混合液の滞留時間を調整し、反応収率の反応時間依存性を調べた。さらに、本実験系に対する反応速度論をモデル化し、速度定数を決定した。一方、理論計算では比誘電率をパラメータとして溶媒効果を考慮したモデルを採用し、密度汎関数法による遷移状態解析を実施した。以上の実験および理論検討を複数のアミン種に対して行うことで、当該モデルの妥当性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に当初、導入予定であった計算プログラムの適用が技術的に困難であることが判明し、再選定を行う必要があったことなどのためやや遅れが生じた。二年目にあたる本年度は順調に進んだが、多少、遅れが残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築、検証した理論モデルが妥当であることを確認できたため、今度はモデルの精度向上および応用展開、成果発表を精力的に進める。本課題を進める中で、フローマイクロリアクターによる実験データを速度論で解析するモデルとして、確立されたものはあまり知られていないことがわかった。現状、複数の仮定と近似に基づくラフな解析を行っているため、得られる速度定数の信頼性に大きな幅があるものと考えられる。今後、精査を行う必要がある。また、量子化学計算モデルに関しても、適用可能な溶媒や分子種等について検証しつつ、改良を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に、当初、導入予定であった計算プログラムの適用が技術的に困難であることが判明し、再選定を行った。そのため、予算執行計画も全体的に遅れている。今後は、計算解析を効率的に進められる様、計算リソースおよびプログラムの強化のために、引き続き予算を使用する。また、より効率的に実験検証を進められるように、モデル物質の合成作業等に関しては、アウトソーシングも活用していく。さらに、二年目以降、十分な成果が出つつあるので、それらを効果的に発表するように努める。
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Research Products
(6 results)