2019 Fiscal Year Research-status Report
量子化学計算を活用したフローマイクロ合成による新規アミン創製法の構築
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17K06910
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Research Institution | Research Institute of Innovative Technology for the Earth |
Principal Investigator |
山田 秀尚 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 主任研究員 (60446408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永木 愛一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80452275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CO2利用 / カルボキシル化 / 反応選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、フローマイクロ法が得意とする不安定中間体を経由する有機合成を対象として、反応系の分子構造から量子化学計算に基づいて第一原理的に最適な反応スキームを設計するための理論モデルを構築することを目的とする。具体的には、化学反応経路上の遷移状態構造およびその電子状態を理論解析し、得られる活性化エネルギーほかの熱力学諸量などをパラメータとして、フローマイクロリアクターおよび合成反応条件の最適化を行えるようなツールを開発する。 これまでに、溶媒和を考慮した量子化学計算モデルの構築とその検証実験を終えており、今年度は昨年度に引き続き、酸ハライドにアミンを塩基溶液共存下で反応させてアミドを得るショッテンバウマン反応をターゲットとして、当該系の速度論的解析を進めた。その結果、モデルの妥当性と高精度化を確認することができた。さらに、構築したモデルを、酸ハライドからのケトン合成や二酸化炭素を利用したカルボキシル化などの反応系に適用することを検討した。その際、反応系のある一つの基質を複数の分子種で置き換える場合の混合効果や系内での基質の拡散効果についても考慮できるような拡張も試みた。 以上の検討から、構築した量子化学計算モデルを用いて遷移状態解析を行い、さらにその結果を用いて速度論的解析を実施することで、反応系の分子構造情報からフローマイクロ合成条件(滞留時間、溶媒等)の最適化ができるようになった。また、その適用対象の反応系は、当初の計画以上に拡張されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に当初、導入予定であった計算プログラムの適用が技術的に困難であることが判明し、再選定を行う必要があったことなどのためやや遅れが生じた。二年目は順調に進んだが、多少、遅れが残っていた。三年目は、課題であった実験データの速度論的解析を十分に進め、また、適用する反応系を当初の計画以上に拡張することができた。今後、成果を取りまとめるとともに、本事業の目的をより精緻に達成するために追加検証の実施、国際会議およびジャ ーナルでの発表を充実させるように計画しているが、全体としてはおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的であった理論モデルの構築に至ったため、今後は成果を取りまとめるとともに、本事業の目的をより精緻に達成するために追加検証の実施、国際会議およびジャ ーナルでの発表を充実させるように計画している。また、上述のように、当該モデルの適用先は、当初計画以上に拡張できることが期待できるため、引き続き調査、検討を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に、当初導入予定であった計算プログラムの適用が技術的に困難であることが判明し、再選定を行う必要があったためやや遅れが生じた。その分の遅れが残っているが、その後は順調に課題検討を進め、計画以上の成果が出つつある。そこで、成果を取りまとめるとともに、本事業の目的をより精緻に達成するために、追加検証の実施、国際会議およびジャ ーナルでの発表を充実させるように計画し、期間延長をさせていただいた。そのため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(10 results)