2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K06922
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神田 英輝 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90371624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 元信 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80170471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スキャホールド / 脱細胞化 / 抽出 |
Outline of Annual Research Achievements |
液化DMEの供給器、抽出カラム、減圧バルブ、回収部が直列に繋がった装置を作成して、抽出カラムに豚の大動脈を充填した。25℃・0.59MPaで液化DMEを供給器から抽出カラムに流速10 ml/minで導入した。抽出カラムの内部で、液化DMEと豚大動脈に含まれる水が混合し、この混合液によって油脂が抽出される。その後、液化DMEと油脂と水の混合物が回収部で回収される。液化DMEの標準沸点は-24.8 ℃なので、減圧バルブを開放し、回収部の内部を常圧に減圧すると液化DMEは蒸発して油脂と水が得られた。抽出操作の後に豚大動脈の残渣に、DNA分解酵素であるDNaseと1~7日間接触させた組織内部のDNAを断片化した。その後80%エタノールや水で3日間洗浄した後に、残留DNA量の定量分析を行った。 DME流量が約300gの抽出操作によって、サンプル乾燥重量あたり1.65重量%の油脂が抽出された。スキャホールドの中のDNAの残存量は。DMEによる脂質抽出後(酵素処理0日目)では残存DNA量は2070ng/mg-dryであり、一般的なスキャホールドの基準値である50ng/mg-dryを大幅に上回った。この段階でDNAが断片化されていることが電気泳動により判明した。また、ヘッドスペースGC法で残留DMEが検出された。このため、抽出残渣を水で洗浄したところ残留DMEは水で抽出除去されて検出不可能になった。 DNase処理により残存DNA量が大幅に減少した。DMEにより予め断片化したDNAが激しく酵素と反応して、除去が容易になった。3日間の酵素処理の後スキャホールドの残存DNAは32ng/mg-dryとなり基準未満となった。7日間の酵素処理の後スキャホールドの残留DNAは2ng/mg-dryとなりほぼ完全に除去された。 これにより界面活性剤を用いないスキャホールドの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、界面活性剤を用いることなく、さらにDMEを残留させることなく、ブタの大動脈から遺伝情報を除去してスキャホールドを作製できた。 今後は皮膚や軟骨など、他の部位にも同様のテクニックを展開し、本手法の適用範囲を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は皮膚や軟骨など、他の部位にも同様のテクニックを展開し、本手法の適用範囲を明らかにする。企業や外部機関などとの連携も行い、積極的な情報発信も行う。
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Causes of Carryover |
当初計画より実験の失敗が少なく、順調に研究が進展したことにより、使用額が当初計画より少なく、次年度使用額が生じた。 この次年度使用額を活かして、当初の計画よりも多い種類のブタ組織の部位に対して、本手法の適用可能性を探りたいと考えている。
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Research Products
(5 results)