2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of surfactant-free scaffold creation method
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17K06922
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神田 英輝 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90371624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 元信 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80170471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再生医療 / 亜臨界流体 / 抽出 / 脱細胞化 / 液化ジメチルエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、万能細胞を立体的に培養するためのスキャホールドが注目されている。ブタ組織の脱細胞化は、界面活性剤によってリン脂質を除去した後に、DNaseによるDNAの断片化を行い、水とエタノールによって断片化したDNAを除去する工程が主流であるが、有毒な界面活性剤が細胞外マトリックスに残留して万能細胞の培養に支障がでる問題があった。また、適用可能なのは大動脈くらいで、需要が大きい皮膚や軟骨や脳といった部位に関しては残存するDNA量や鎖長が基準を満たさない問題もあった。 本研究では、過去に我々が植物からの油脂抽出の溶媒として有効性を見いだした「液化ジメチルエーテル(DME)」を、動物であるブタ組織に応用してリン脂質を除去することで、界面活性剤を一切使わずにブタ組織を脱細胞化することを目指した。 数mm~数cmにカットしたブタ大動脈・軟骨・脳組織を抽出カラムに充填した。25℃・0.59Mpaに加圧して液化状態にしたDMEを流速10 ml/minで45~60分間流通させた。抽出カラムの内部で液化DMEによってブタ組織の細胞膜を構成するリン脂質が抽出された。その後、液化DMEと油脂と水の混合物が回収容器に導入された。液化DMEの標準沸点は-24.8 ℃なので、回収容器の内部を常圧に減圧すると液化DMEは蒸発してリン脂質などの油脂と水を得た。ブタ組織の残渣に、DNA分解酵素であるDNaseを1~7日間接触させて組織内部のDNAを断片化した。残留した細胞核の顕微鏡観察とDNAの定量分析を行った。大動脈に関しては電気泳動によるDNA断片鎖長の測定も実施した。 本手法でブタ大動脈の脱細胞化に成功した。またブタ脳については脱細胞化できる可能性が示された。ブタ皮膚と軟骨については従来技術と同程度の残留DNA量であり、液化DMEを界面活性剤の代わりとして用いる発想自体の妥当性は確認できた。
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