2017 Fiscal Year Research-status Report
Protein engineering of human FUT8 for efficient production of core fucosylated glycoproteins
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17K06929
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
井原 秀之 佐賀大学, 医学部, 准教授 (50452834)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FUT8 / アスパラギン結合型糖鎖 / コアフコース / グライコエンジニアリング / N型糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請ではアスパラギン結合型糖鎖(N型糖鎖)の構造改変によるバイオ医薬品の機能化を目的とした開発プラットフォームを構築するために、近年注目を浴びているコアフコース構造を合成するFUT8の変異導入による反応高効率化及び変異体酵素の恒常的発現細胞を樹立することによるコアフコシル化糖タンパク質高発現系を作製していく。平成29年度は、FUT8の反応高効率化を目指して翻訳後修飾改変FUT8変異体の作製についてN型糖鎖導入変異体の作製を中心に行った。カイコFUT8の糖鎖付加部位を参照にヒトFUT8のAsp-186, Glu-347, Glu-348に変異導入を行い糖鎖付加変異体を作製した。また、SNPデータベースに登録のあったAsn-213に糖鎖付加部位が導入されるAsn215Ser変異体も併せて作製した。一般的にタンパク質発現によく利用されるCOS-1, HEK293, CHO, HepG2, Sf21細胞に各変異体を発現させFUT8酵素活性を測定したところ、Asp-186, Glu-347, Glu-348に糖鎖付加部位を導入した変異体では酵素活性の上昇が見られたがSNP変異体であるAsn215Ser変異体では酵素活性の低下が見られた。 糖鎖付加部位を複数導入した変異体では、更に活性が上昇する傾向にあることも観察された。これらの結果から、ヒトFUT8のAsp-186, Glu-347, Glu-348への変異導入による糖鎖付加は活性上昇に効果的であることが示された。更に興味深いことにGlu-347の糖鎖付加変異体ではCOS-1細胞で発現させた場合に糖鎖付加が約50%しかなされなかったことが明らかになり、糖鎖改変において宿主やタンパク質の部位特異的に糖鎖の付加効率が変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コアフコシル化糖タンパク質高発現系を作製するにあたって、FUT8の活性調節に変異導入による糖鎖付加が有効な手段である可能性を示すことができた。また発現させた細胞種の違いや、FUT8への糖鎖付加部位の導入場所の違いによって糖鎖付加効率が変わることが示され、本申請での糖鎖改変技術を開発する上での基礎データとなり得ることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度に得られた結果を基に、各種培養細胞に糖鎖付加FUT8変異体を遺伝子導入し、薬剤スクリーニングにより恒常的に糖鎖付加変異体酵素を発現している細胞株を樹立する。樹立した細胞を用いてモデルタンパク質を発現させ、親株や野生型FUT8を恒常的に発現している細胞株を対照にして変異体酵素によるモデルタンパク質へのコアフコース導入効率を評価する。最も高効率でコアフコース付加が行える変異体酵素発現細胞株をコアフコシル化糖タンパク質高発現系とし、種主のタンパク質においてコアフコースによる機能化が可能であるか検討していく。また糖鎖付加FUT8変異体の分泌型酵素発現系を作製し、発現系から調製した精製酵素を用いることでFUT8の糖鎖付加による活性上昇の機構についても明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度は学会発表が予定していた回数より少なくなったため、また予定していた研究の時期が次年度に少しずれてしまったために研究費を平成30年度に持ち越すことになった。平成29年度より持ち越した研究費分と平成30年度の研究費については、予定時期がずれてしまった研究および平成30年度の研究の進展に利用する予定である。内訳としては申請書の研究計画に従い、主として消耗品に使用する。また研究の進展に応じて、結果を発表する為の学会発表における旅費および論文発表のための校正等の費用にも一部使用する予定である。なお機器や高額物品への研究費の使用予定はない。
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Research Products
(1 results)