2017 Fiscal Year Research-status Report
Study on in-flight ablation phenomena using ground testing
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17K06947
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
酒井 武治 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (90323047)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アブレーション / センサー計測 / 空力加熱 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素アセチレントーチを熱源とした超小型耐熱材料実験系を構築した.耐熱材料として,比重約0.9の炭素多孔質基材とその基材にポリイミド樹脂を含浸させたアブレータを使った.径12.7mm,厚さ30mmの円筒形を標準形状供試体として,トーチ火炎流へ投入・移動・退避するための自動ステージ付き水冷式治具を制作した.ガードン型熱流束計を使ってトーチ火炎軸方向の加熱率空間分布を調査した.熱流束計先端をノズル出口から25~55mmまで変化させた場合,5.3~3.9MW/m2と減少する傾向が分かった. 炭素多孔質基材からなる供試体端面をノズル出口から30mm離して50秒間加熱試験した.加熱表面は放射温度計により,また,供試体内部にはK型熱電対を艤装し,それぞれ表面および内部温度を計測した.その結果,表面温度が2500K程度の準定常加熱状態が構築できた.また,表面損耗は約2.8mm,加熱表面より約18mmの深さにおいて最高温度は1000K程度となり,センサーを使った定常アブレーション実験実施に目途がついた. 当該アブレーションセンサーに使っている光ファイバー-Si-InGaAsサンドイッチ型光検知器測定法の精度を,1500~2500Kまでの温度範囲について黒体炉を用いて調査した.これにより,本測定法の精度の改善策および校正データを構築できることがわかった. 炭素多孔質材料内の質量・運動量・エネルギー保存式を数値的に解くシミュレーション法を構築した.そして,我々がこれまで行ったアーク加熱試験での内部温度データを1次元流れと仮定して本解析法により調査した.その結果,計測した材料深部での温度上昇特性をより正確に再現できることがわかった.これらは,次年度以降行う,高温火炎流が流入する供試体の熱応答解析に適用する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験については,計画事項を概ね実行することができたものの,1)酸素とアセチレン双方のガス流量を手動で供給していることなどに起因して,広範囲な実験条件に対して再現性の高い加熱率データが整理できていないこと,既往研究にあるような高加熱率条件を本実験系ではまだ達成できず,アブレータ材料が有意に表面損耗する条件が見いだせなかったこと,2)アブレーションセンサーによる定常アブレーション計測ができなかったことなどは,次年度引続いて調査すべき案件として考えている.シミュレーションコード開発では,高速高温気流下の多孔質材料の内部熱応答を解析するには,これまでの固体-輻射熱輸送に加えて,多孔質内のガス流動による対流伝熱も連成する必要性があるとの認識に到り,そのコード開発に時間を配分したため,当初予定していた加熱率測定データと比較が行えなかった.これらを踏まえ,「やや遅れている」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
炭素多孔質基材に当面は特化し,定常アブレーション下でのアブレーションセンサー計測および熱電対による内部温度計測などを行い,アーク加熱風洞試験と同等な評価が行えるアブレーションセンサー作動特性試験法を,酸素アセチレンバーナーを使って確立する.データ再現性を高めるため,アセチレンと酸素を独立に供給して燃焼流を生成する実験系へと拡張し,加熱率特性を再評価する.損耗が小さい場合には,炭酸ガスレーザー加熱を付加的に組み合わせるなどの改善策を試して対応する. ある物体が大気突入する非定常加熱環境を想定し,物体への加熱率に対する表面温度の関係を解析し,本実験系がどのような熱環境を再現できるか評価する. 燃焼流解析コードを開発し,加熱率測定データと比較してコードの検証を行う.その後当初の計画通り,定常アブレーション下での燃焼流-材料熱応答統合解析を実施する予定である.ただし,炭素多孔質基材への燃焼ガスの流入が材料の熱輸送特性に大きく影響する場合,炭化アブレータなどを導入して,複雑さを避けて予測可能な定常アブレーション環境の実験プロトコルを確立したい.
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Causes of Carryover |
配管部品と鳥取大学技術部への依頼作業費が予定よりも安価であったため.これらは次年度で金属・プラスチック材料や光学・配管部品などの物品で使用する計画である.
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Research Products
(5 results)