2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel assessment method for the safety of Arctic sea route for decreasing sea ice condition
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17K06968
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
金野 祥久 工学院大学, 工学部, 教授 (60322070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北澤 大輔 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30345128)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 極地工学 / 氷海船舶 / 北極航路 / 運動解析 / 模擬氷 / 衝突 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海洋減退が進む夏季の北極海航路で、目視やレーダーでは発見できない氷塊に船舶が開水中航行速度で衝突するリスクを考慮した航行安全性評価手法を提案することを目的とする。模型実験で衝突前後の氷塊の運動を計測することにより氷塊の運動エネルギーの変化を詳細に調べるとともに、この現象に適した数値解析技術を構築することで、海氷減退期に適した新たな評価手法を提案する。平成29年度は模型実験で氷塊の運動を計測するための運動計測システムの導入、船舶模型および実験用模擬氷塊の作成、および衝突前後の物体に作用する流体力の文献調査を実施した。 運動計測システムは研究代表者が開発したものや市販のものを比較し、本年度は工学院大学が所有する市販の3次元ビデオ動作解析システムFrame-DIAS Vを用いることとした。このソフトで計測しやすいよう、位置マーカーを貼り付けた模擬氷を、円柱型(φ100mm×50mm)と立方体型(100mm×100mm×100mm)の2種類作成した。材料には低分子量ポリオレフィンを採用した。船舶模型は新たに作成せず、既存の模型(船長300mm)を修理して再利用することとした。 東京大学生産技術研究所の小型造波曳航回流水槽を用いて予備的な実験を実施した。その結果、構築した計測システムで模擬氷の運動を30fpsで計測でき、そこから力学エネルギーの変化を算出できる見通しを得た。ただし現在の計測系では曳引台車が撮影用カメラの視界を遮ることがあり、改善を要する。 また、現在のアイスクラスの設計氷荷重に関する考え方を文献調査した。衝突前後の物体に作用する流体力の文献調査も実施したが、報告例が乏しく、本研究に直接役立ちそうなものは見つかっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では平成29年に運動計測システムの導入、船舶模型および実験用模擬氷塊の作成、および衝突前後の物体に作用する流体力の文献調査を実施する予定であった。現在までのところ運動計測システムの導入は順調に進み、予備実験を実施するに至った。水槽実験は平成30年度に実施予定だったので、予備実験ではあるが当初計画より進展していると言える。また船舶模型は新たに作成せず既存の模型を修理して使うこととし、実験用模擬氷塊は2種類を作成し、前記の予備実験に供した。文献調査ではまだ本研究に直接役立つ報告を見つけられていないが、この点を差し引いても当初計画より進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は29年度に引き続き、実験用模擬氷塊の作成を継続する。また模擬氷を用いた水槽実験により、船体と氷塊との衝突前後で氷塊の運動を測定するとともに、計測精度を検証する。計測精度検証を容易にするため、東京大学生産技術研究所の小型造波曳航回流水槽に準ずる簡易実験施設を工学院大学内に設置する予定である。
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Causes of Carryover |
計測用高速度カメラを工学院大学の伊藤慎一郎教授から貸与されたため、調達が不要だったことと、模型船舶を作成せず既存のものを修理して使うことが出来たため、研究実施計画通りに進んでいるにもかかわらず支出を抑制できた。次年度に本予算を使用し、工学院大学内に簡易実験施設を設置して計測精度検証に利用することを計画している。
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