2017 Fiscal Year Research-status Report
Research on fundamental algorithm of mechanical surface transformation based on geometric theory
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17K06971
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
松尾 宏平 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (00399528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 曲面幾何 / 曲率線 / スマートマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、曲率線情報に基づく任意の曲面から任意の曲面への幾何学的変形理論の構築に取り組んだ。 まず、初期の曲面F(u, v) に曲率線格子を求め、その曲率線上の各点に任意の(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)の3要素を与えて曲率線格子を変形、曲率線格子の変形に伴って生成される新しい曲面F'(u, v) の特性について考察した。特に、初期の曲面F(u, v) 上の曲率線を(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)で変形した曲線が、新しい曲面F'(u, v) においても曲率線となり得るかに関して、測地的ねじれτgに注目して理論的考察を行った。つまり、曲率線は測地的ねじれτgがないことが必要十分条件であるが、曲率線に上記の変形3要素を付与しても、曲面に対して測地的ねじれτgがゼロとなる曲面F'(u, v) の条件について検討した。 次に、初期の曲面上の曲率線格子から、任意の(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)の3要素を与えて、新しい曲面を生成するシステムを開発した。これは、既存で開発していた平面→曲面の変形システムを、曲面→曲面の変形に一般化したものである。このシステムを用いて、いくらかの曲面について曲率線の変形による曲面操作をシミュレーションし、その変形過程について考察を行った。初期の曲面F(u, v)から変形要素(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)を与えて、どのような変形過程を取るか、どのような曲面F'(u, v) ができるかを検討した。特に、新しい曲面F'(u, v) 上で改めて求め直した曲率線格子と、上記の変形3要素で変形させた元の曲率線格子との比較を行い、変形前後の曲率線の様子を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
曲率線を操作して曲面全体を操作する基本的なコンセプトに関して、その根幹をなす理論について検討を進めた。具体的には、初期の曲面における曲率線は、(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)の3要素の変形によって、新しい曲面の曲率線になりうるかという点について、なり得る場合の曲面形状とその際の変形要素の関係を検証した。ただし、それらを数学的に厳密に定義するまでには至らなかった。 一方、曲面変形システムについては、曲率線を操作することで曲面から曲面を生成できるものを開発した。具体的には、曲率線格子に変形3要素(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)を与えれば、それに追従する新しい曲面形状を求めることができる。このシステムはグラフィカルインタフェースを有し、変形の前後それぞれの曲面の様子を分かり易く確認することができる。 以上の観点から、理論面では当初の目的を完全には遂行していないが、システム開発の面では成果が出ており、おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、曲率線操作による曲面変形理論の構築に取り組む。特に、新しい曲面上でも曲率線でなり得る場合について数学的に検証する。具体的には、変形3要素を与えた曲線とそれによってできる曲面を表現し、各条件における測地的ねじれを観察する。また、開発した曲面変形システムによって、新しい曲面で改めて導出した曲率線格子との比較等も行い、その妥当性を評価する。 曲面変形システムについて、現状は、曲率線に変形3要素を与えて新しい曲面を作ることができるが、それが意図した曲面であるかは不問としている。今後は、目的の曲面を設定し、初期の曲面→目的の曲面に変形できるシステムに改良していく。具体的には、初期曲面と目的曲面の曲率線の(曲線長, 法曲率Kn, 測地的曲率Kg)の差から、与えるべき変形3要素(伸縮δd、法曲率変化δKn、測地的曲率変化δKg)を算出し、それらを与えることで正しい目的曲面になるかをシミュレーション上で確認する。また、変形3要素を与える順番や変形の刻み幅を変えることでシリーズ計算を行い、どのように変形が進展するのか(変形過程)について検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成29年度においては、当初の予定以上に、変形過程の理論構築に対してエフォートを投入した。このため、曲面変形システムのシステム開発に関する物品費や人件費を当初の予定通りに執行しなかった。 平成30年度以降は、理論的構築と同時並行で曲面変形システムの開発に重点化する。システム開発にあたっては、環境整備やシステム開発のサポートのため、平成29年度分の予算も充てて研究開発の進展に取り組んでいく。
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