2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of highly functional nanoporous metal silicate polymer materials made from low utilization resource minerals
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17K06987
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 淳司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70200649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 資源鉱物 / ケイ酸塩ポリマー / 天然ゼオライト / メタカオリン / フライアッシュ / 吸着剤 / イオン交換 / 重金属回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
低利用の天然ゼオライトやカオリン鉱物等のアルミノケイ酸塩資源鉱物および石炭火力発電所から産生するフライアッシュ等を原料として、特異なイオン吸着固定特性や触媒活性を有する新規のナノ細孔質の無機金属ケイ酸塩ポリマー素材の創製を試みた。近年、フライアッシュを主原料とした無機ケイ酸塩ポリマー硬化体(ジオポリマー)が活発に研究開発されているが、その物性を十分に制御していることは言い難い。我が国の石炭火力発電所から産生するJIS1~4種相当灰および、市販の各種メタカオリンについて酸・アルカリ処理、粉砕・磨砕等の力学的処理のうち適当な条件・組合せの前処理による改質を施すことにより、高品位の無機ポリマー化の合成を行うことができた。ただし原料の選定として、高機能性を担保するには、フライアッシュはJIS1種相当灰、カオリンは製紙用純度以上のもの、天然ゼオライトは純度の高いものを選ぶ必要があることがわかった。また、上記主原料に最も活性化を示す前処理を施した出発物質について、水酸化アルカリと水ガラスとの混合溶液と混合してスラリーを作成し、室温~80℃の温度で1日以上加湿養生を行い、作成した無機ポリマー硬化体の物性を調べたところ、ポリマー硬化体の化学・力学的物性に大きな影響を与える因子は、原料組合せと合わせて、固相/水比、アルカリ/水比、Si/Al比の原料配合と養生条件(主に温度、水和・脱水縮合プロセス)であることがわかった。さらに、本事業で導入した比表面積・細孔分布測定により、作成条件(とくにアルカリ種、Si/Al比の初期配合条件)が、ナノ~メソ細孔径分布に大きく関係することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電力会社の発電ボイラーから供給されたフライアッシュ、メタカオリン、天然ゼオライト(モルデナイトおよびクリノプチロライト)を選択して比較したところ、純度の高いカオリン原鉱またはクリノプチロライト原鉱を粉砕、分級および水簸で精製し、外熱多筒式ロータリーキルンで焼成・メタ化した後に、希アルカリ処理または振動ミル摩砕にてメカノケミカルすることで、反応活性が最も高く安定した出発物質を調製できる条件を確立することができた。 また、無機ポリマー硬化体生成物のポリマー構造の評価法として、簡易的な湿潤法の有効性を確認し、とくに比表面積・細孔分布測定による窒素吸脱着挙動と細孔分布、そして29Si-NMR測定で得られるポリマー縮合状態と破壊原子価(シラノール基の分布)が、交換性イオンの選択性・容量・収着挙動と相関があることを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの成果を基に、環境負荷の高い金属種としてセシウム、ストロンチウム、バリウム、コバルト、鉛、亜鉛、銅などを選択し、これらイオン種に対する吸着・固定(溶出)挙動、イオン交換選択性(選択係数)との関係を継続して検討していく。さらに、吸着イオンの状態をXPSやSEM-EDX、TEM-EDX等の測定により検討を行い、吸着機構の解明を試みる。また、模擬排水を調製して吸着カラム試験を行い、既存のゼオライトまたはスメクタイト等の鉱物質のイオン吸着・固定剤とのイオン交換・吸着・固定性能の比較評価を行う。また、粉砕した無機ポリマー粉末を酸処理またはアンモニウムイオン交換した後に加熱処理することで、基本的にアルミノケイ酸の3次元ネットワークの細孔質骨格構造を維持したプロトン型無機ポリマー試料を調製し、固体酸性の発現を試みる。そして、このプロトン型無機ポリマー試料による溶液中の有機化合物、ホルムアルデヒド等のVOCガスについて低温接触分解性能について、これも既存の固体触媒との活性比較の検討を行う。これにより、本研究の作製方法で調製した無機ポリマーの構造と特異性について、発現機序の解明と並行して検討する計画である。
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Research Products
(2 results)