2019 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical form analysis and Geochemical approach to identify past tsunami sediments
Project/Area Number |
17K06989
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
渡邊 隆広 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, 研究職 (40436994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 年代測定 / 化学判別 |
Outline of Annual Research Achievements |
津波堆積物の化学分析については、迅速かつ大量の試料を処理する必要がある。しかし、陸域の堆積物はかく乱されるケースが多く、かつ堆積環境が不安定であるため、堆積物の組成は単純ではない。広範囲において適用できる汎用的な化学分析手法および解析手法は未だ確立されていない。本研究では、走査型X線分析顕微鏡を用いて、津波イベント層の検出に必要な津波堆積物の化学分析の手法および得られたデータの解析手法について検討した。最終年度において、津波堆積物の化学成分分析を継続し、各元素のX線強度の主成分分析を実施した結果、形成過程の異なる津波堆積物砂層と浜堤堆積物砂層の区別ができる可能性が示唆された。 津波堆積物に含まれる主成分元素及び重金属類について主成分分析を実施した結果、第1主成分(PC1)、及び 第2主成分(PC2)の寄与率はそれぞれ63%、23%であり、第4主成分までの累積寄与率は96%であった。主成分分析により得られた結果を評価し堆積物試料の化学的特徴を支配する要因について考察した。堆積物試料の化学的特徴を支配する要因として、酸化還元環境の影響、ケイ酸塩鉱物の影響、海水由来成分の影響等が重要であることが示唆された。今後はより明確に区別するため、多地点から採取したデータの蓄積が重要になると考えられる。また、走査型X線分析顕微鏡等による化学成分のマッピングにより各元素の濃縮箇所の把握が可能になり、堆積環境の変化についても検討が可能になった。本研究により津波堆積物の高精度での年代測定手法、津波堆積物の同定手法の改良、および化学的特徴について十分な知見を得ることができた。今後はさらに広範囲及び異なる時代に形成された津波堆積物について本手法の適用性を評価してくことが重要である。
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Research Products
(2 results)