2017 Fiscal Year Research-status Report
Non inductive buildup of keV plasma using X-wave in fusion tokamak
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17K06992
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前川 孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 名誉教授 (20127137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 仁 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (90183863)
打田 正樹 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (90322164)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電子サイクロトロン加熱・電流駆動 / トカマク炉 / 非誘導立ち上げ |
Outline of Annual Research Achievements |
放電起動時の初期プラズマは低温低密度であり、正常波モードの波動(O波)の電子サイクロトロン(EC)吸収は弱く、有用でない。一方、異常波モード(X波)の吸収は極めて大きく、電流駆動効率も高くて有用である。炉工学的には、EC加熱電流駆動(ECH/ECCD)のための波動は弱磁場側からの入射に限られるが、電子温度Teが100eV程度に上昇しないと、弱磁場側からのX波は、サイクロトロン遮断層で反射され、EC吸収領域に到達できない。このことを考慮して、X波による電子温度がkeV(1千万度)領域のプラズマの非誘導初期形成のための以下の方策を提案した。 (1)磁気面形成に至る前の温度が100eVに満たない開磁場段階のプラズマにおいては弱磁場側からO波の斜め入射が有用である。O波は極微弱なEC吸収を受けるだけで、ほとんどの入射電力が内側容器壁に到達して反射される。反射に際して大部分がX波にモード変換され、強磁場側から、吸収層に到達してEC吸収される(OX法)。 (2)EC電流駆動によりトロイダル電流が40kA程度に上昇すると、磁気面が形成され閉じ込めの良いトカマク段階に至り、電子温度も100keVより十分高くなると期待でき、弱磁場側からのX波の斜め直接入射が有用になる(DX法)。すなわち、電子密度が1x10^19m^-3程度に抑えられていれば、X波はサイクロトロン遮断層に至る前にドップラー効果によりEC吸収される。 (3)過去の実験結果と理論解析により初期磁気面形成に最適な外部垂直磁場Bvが50ガウス程度であると推論した。 (4)プラズマ閉じ込めにLモード則を適用した場合、4MWの入射電力でトロイダル電流が200kA、電子密度が1.2x10^19m^-3, 電子温度が2keVのプラズマの非誘導形成が期待できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)OX法、DX法の両者についてEC波動の伝播と吸収について、電子の速度分布が熱分布(マックスウェル分布)の場合について、線形理論の範囲で明らかにし、計算コードを完成させ、ITERの場合について、周波数、入射電力、プラズマ発展段階に応じたOX法とDX法の選択など、具体的な案を提案した。 (2)駆動電流の推定については、捕捉電子効果を考慮した、アジョイント法を採用し、上記(1)の解析に適用し、たとえば、電子密度が1.2x10^19m^-3, 電子温度が2keVのプラズマでは1MWの入射電力で63kAのトロイダル電流が駆動されることを示した。 (3)上記の解析にLモード閉じ込め則を組み込む方法を見出した。 (4)外部垂直磁場は、初期磁気面形成において、複数の効果を持つことを理論的に見出し、過去のKSTARでの立ち上げ実験結果と合わせて、ITERの初期磁気面形成においては50ガウス程度の外部垂直磁場が適していることを提案した。 (5)以上を纏めて論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)JT60SA、KSTAR実験へのOX法とDX法の具体案を作成する。JT60SA、KSTARではトロイダル磁場強度がITERの半分で周波数も80-100GHz(ITERでは170-200GHz)となり、DX法の場合、密度制限がきびしくなるので、何らかの工夫が必要になる。 (2)電子温度が10keV程度のランプアッププラズマにおけるX波ECH/ECCDの有用性を、線形理論を用いて解析する。この領域は従来O波しか考慮されていない。波動の偏波、吸収、電流駆動について完全に相対論的な取扱いが必要になる。 (3)簡単な見積もりにより、ITERの立ち上げプラズマではMWレベルの入射電力の場合線形計算が有効であると推測できるが、入射電力が10MWを超える場合は、これが定かではなく、フォッカープランクコード用いた検証が望ましい。その準備を進める。
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Research Products
(2 results)