2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of super-high-speed pellet injection system using high-temperature superconducting linear catapult
Project/Area Number |
17K06999
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
柳 長門 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (70230258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本島 厳 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (00509507)
高山 彰優 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (70396589) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核融合燃料供給 / 高温超伝導磁気浮上 / リニアカタパルト |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場閉じ込め方式核融合炉の燃料供給のために、高温超伝導リニアカタパルトを用いた革新的なペレット射出方式を提案している。これは、真空チューブ中に敷設した永久磁石のレール上で高温超伝導薄膜を用いた超小型の「磁気浮上列車」を電磁加速し、最終的に10 km/sの射出速度を得ることをターゲットとしているものである。本課題は、その原理実証を行う研究である。 これまでに、電磁加速を行うための電磁石コイルについて製作・改良を行うとともに、スイッチング回路も製作・改良して、超伝導磁気浮上列車の連続的電磁加速が安定に行えるようになった。現状、列車の浮上と加速にはREBCO系高温超伝導バルク材を用い、電磁石コイルは直径100 mm、長さ120 mmのアルミニウム製ボビンに直径1 mmの銅線を各1000ターンずつ巻いたものを合計8個製作した。直流電源から接続したIGBT半導体素子を用いた高速スイッチング回路の構築と改良を行い、レーザ・光センサとマイコンを用いた自動制御システムが完成した。これらを用いて、円形レールにおいて、長時間の連続加速が行えるようになった。 一方、将来のシステムについての検討を並行して進めた結果、数百m/sに至る高速走行を実現できた際は現在の制御システムでは原理的に応答が追い付かなくなることが判明した。そこで、当初の目標とした磁場閉じ込め核融合炉のための超高速燃料ペレットの供給ではなく、慣性核融合炉のための比較的低速の燃料ペレットの供給に対して有望となるよう、速度の最終目標は100 m/s程度とするも、高精度の速度制御をめざすことに方針転換した。 一方、高温超伝導薄膜に誘起される電流と磁場の空間分布に関する数値計算を進め、特に、複数の電磁石を用いた場合の連続加速が扱えるようになった。併せて、高温超伝導バルク材に誘起される遮蔽電流と電磁加速の関係も定量的に明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、本年度の目標として磁気浮上列車の速度10 m/sの実現を狙ったが、現状は2 m/sの達成に留まった。本年度は、電磁石コイルとスイッチング回路を用いた電磁加速システムの応答制御を行うために昨年度構築したレーザと光センサを用いたシステムをさらに整備して安定な動作をさせることが可能となり、円形にした加速レールを用いて定常的な推進を実現した。これまでの検討により、将来、数百m/sを超える高速走行を実現できた際はこのシステムの応答が追い付かなくなることが判明したため、フィードバック制御に代えてフィードフォワード制御に切り替えることにして検討を行ったが、超高速のスイッチング回路を用いたとしても電磁石のインダクタンスに伴う立ち上がりとその精度が問題となることがわかり、難しいことがわかった。そこで、本研究課題の範囲では、むしろ、安定に100 m/sの搬送を行うシステムへの変更を行うこととして一部計画を変更した。これは、磁場閉じ込め核融合炉の燃料ペレットの供給よりも慣性核融合炉の燃料ペレットの供給に対して有望となる。すなわち、前者では、1 km/s以上の速度を達成することが必要条件であるが、速度の精度には多少のばらつきが生じても許容される。これに対して後者では速度は100 m/sあるいはそれ以下でも使用可能と考えらえるが、レーザが照射されるタイミングと完璧な同期を取るため、速度範囲には高い精度が要求される。本研究課題において現在までに進展させてきた加速システムはフィードバック制御を用いるものであるため、速度の制御が原理的に可能であり、後者に最適であることが新たにわかった。そこで、今後は計画を一部変更して、この方向(低速度で高精度な速度制御)のシステム開発をめざすこととした。このためにシステムの動作特性をさらに上げる必要があり、改良を行っており、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況にて述べたように、本研究課題の今後の研究方策としては、これまでの超高速(将来のシステムで1 km/s以上、現状は100 m/s目標)の電磁加速をめざす方針を一部変更して、比較的低速(将来のシステムで100 m/s程度)で精度の高い速度制御を伴った電磁加速の開発を行うことに切り替えた。これまでに構築したレーザ・光センサを用いたタイミング制御による電磁加速システムにおいて、さらにタイミング制御を正確に行うべくマイコンの設定を改良するとともに、計測精度を上げた実験を行う方針とする。さらに、レールシステム全体を真空チューブの中に入れることを計画し、これにより最高速度の向上をめざす。この場合、これまでのシステムにおける電源のスイッチング回路のフィードバック制御で用いてきたレーザ・光センサが使えなくなるため、代わりにピックアップコイルを用いたシステムを導入する。これらにより、目標となる10 m/sを超える十分な加速が得られれば、その結果について数値計算との比較を行い、本研究課題の原理検証を完成させることができる。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、研究課題の採択時と並行して所属研究機関の管理職に就いたため、申請時に想定したエフォート(自分自身で研究を遂行できる時間)の確保が困難になった。それでも何とか時間を見つけて研究課題の遂行に努めてきたが、当初計画と比べると進展が遅く、十分と言える成果を得るに至らなかった。そこで、さらに継続して研究を行うこととして申請を行った。研究の継続にあたり、今後の研究推進方策において述べたとおりの方針に一部軌道修正するものとした。そこで、予算については、加速精度の向上のための制御機器の改良に充てるものとする。
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