2017 Fiscal Year Research-status Report
Rapid measurement of Cs-135 in used Cs adsorbents with laser ablation ICP-MS
Project/Area Number |
17K07019
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
浅井 志保 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (10370339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大畑 昌輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80349224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Cs-135 / レーザーアブレーション / ICP-MS / 汚染水 / Cs吸着材 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原発の汚染水処理により発生する廃Cs吸着材には、主要な放射能汚染源となっているCs-137だけでなく、別の放射性同位体Cs-135も存在する。Cs-135は長寿命であり、Cs-137の放射能が減衰した後も長期間放射線を放出し続ける。しかしながら、外部非破壊測定が可能なCs-137とは異なり迅速分析が困難なため、その存在量はまだ評価されていない。 本研究では、レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)により廃Cs吸着材をほぼ前処理なしで分析し、同位体比Cs-135/Cs-137と1ユニット全体のCs-137のγ線測定値から、対象ユニット中Cs-135の存在量を1ユニット分まるごと評価する手法の提案を目指す。 H29年度は、まず、市販のCs吸着材(Eichrom Technologies社製Cs Resin、フェロシアン化物担持樹脂)を用いてアブレーション条件を検討した。Cs吸着材は、0.01 M硝酸に調製した10 mg/LのCs標準液に浸漬してCsを吸着させた後、ガラス板上に両面テープで貼り付けて測定試料とした。 Cs吸着材は不定形で表面が粗く、粒度分布も広いため(0.3~0.8 mm)、ラインスキャンの設定が困難だった。このためスポット照射を選択したが、照射開始後10秒以内で樹脂構造が破壊され、十分な強度のシグナルが得られなかった。そこで、Cs吸着剤をメノウ乳鉢でつぶして平滑にし、両面テープに貼り付けて測定した。この方法では、安定したシグナルが2分以上得られた。また、樹脂骨格の主要構成元素であるNiの同位体比をモニターしたところ、天然に一致したことから、同位体比も正確に測定できていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、まず、スポット照射におけるアブレーション条件を決定することとしていた。しかしながら、Cs吸着材の物理強度や形状がスポット照射に不適切であり、安定したシグナルが得られず、H29年度の前半は進捗が遅れた。しかしながら、照射前にCs吸着材を潰して平坦にし、ライン照射をすることで問題が回避された。当初の想定よりも良好なシグナルが得られ、さらに再現性も良かったことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度以降は、まず、市販のCs吸着材を用いて、共存元素によるCs-135への有意なスペクトル干渉がないことを確認する。つぎに、異なるCs濃度に調製したCs吸着液にCs吸着材を浸漬し、Cs吸着材中Cs濃度を変化させ、検出可能なCs濃度範囲を評価する。このとき、アブレーションによって生成される粒子をトラップしてSEMで観察し、アブレーション条件とシグナル安定性の関係もあわせて評価する。これと並行し、Cs同位体(Cs-133, Cs-135, Cs137)と同じ質量数帯に安定同位体をもつBaを用いて、質量差別効果の補正方法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
H29年度は、研究成果は得られていたものの成果報告するには至らず、当初予定していた国際会議への参加を延期した。そこで、H30年度以降に開催される国際会議での発表に必要な渡航費および参加費と、研究費の原資として活用するため、H29年度分を繰り越すこととした。
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