2017 Fiscal Year Research-status Report
樹木中の放射性セシウム蓄積機構の解明と森林資源汚染の将来予測
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17K07024
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
太田 朋子 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (30373020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 完 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60234746)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射性核種 / 放射性セシウム / 森林 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年の福島第一原子力災害により放出された放射性核種は広域の環境中で検出されている。我が国では原子力災害により拡散された核種が森林に沈着し、材の原料となる樹木の汚染の要因となっている。材の中の核種の濃度は我が国の農林水産業の分野でも関心が高く、材の原料となる樹木中の核種の未来予測は重要な課題である。樹木中の核種の未来評価モデルの構築を行うためには、複数のパラメータの取得が必要となる。 2017年度は、樹木の樹皮および葉を通じたセシウムの吸収経路の検証のために、年輪中の同位体を含むマルチトレーサー分析と不飽和層中の水の移動速度の実測を行った。 フィールドよりスギの樹皮を通じたセシウムの吸収経路の検証を行うために、樹木中のセシウムのフロント追跡を行ったところ、樹皮を通してセシウムが樹体内に吸収された痕跡を再現・実証した。室内試験により微量のセシウムのフロント追跡を行い、樹木の各部位に転流したセシウムの転流率を定量化した。 さらに、オフサイトのフィールド調査を行い、降水を季節ごとに採取して降水および土壌水中のδD、δOの観測を行い、天然トレーサーによる不飽和層の水の鉛直移動速度の実測をした。土壌水は不飽和層の土壌のコアより得て、分離精製を行った。降水中のδD、δOは夏-秋に高く、冬に低い一山型を示した。観測された降水中のδD, δOの変動は、複数の気団の影響を受けたため、季節変動がみられたと考えられた。観測した土壌水中のδD、δOの分布より、オフサイトの不飽和層中の水の鉛直方向の移動速度を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
室内試験を中心にデータの取得を行っている。加速器質量分析のための分離条件の取得、化学分離精製も一部終了しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
加速器質量分析計による核種の測定を行い、福島およびその周辺の県の不飽和層中の核種の移動速度を求め、経根吸収による核種の取り込み率の高度化を行う。
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Causes of Carryover |
室内試験を中心としたこと、および加速器質量分析計の施設使用料等の支出を2018年度を中心にするため、使用額に差が生じた。
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Research Products
(1 results)