2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K07025
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小野寺 英輝 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50233599)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 風車 / 空振 / 地盤振動 / 低周波音 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の,大型風車による健康被害が報告されていない場合のデータと,本年行った,住民による健康被害に訴えが顕在化している場所でのデータの比較を行った.具体的には以下の計測を実施した. 1)地元(岩手県)内の風車近傍での振動計測を実施した.岩手の場合,近隣の人家からは大幅に距離を隔てていることもあるのが,低周波騒音被害ということは聞かない.後刻実際に被害のあるところのデータとの対照用である.2)他県の風車の振動計測を実施した.こちらは人家に近接しているが,ここでも被害の報告はない.3)実際に被害の申告のある地域へ赴き,地盤振動,装置が到着したので空気振動についても計測を実施. 以上の結果から,空振のFFTによる周波数分布と,地盤振動波の周波数分布の比較を行った.空中を伝播する圧力波による空振動と,地盤を伝播する地盤振動の縦波は,地盤の硬度により,伝播速度が変わるので,二つの波は同周波数で民家領域に伝播するわけではない.また,両者の間で,空振は,距離の三乗根に比例するので,減衰幅が大きい.それに対し,地盤振動は距離減衰が少ないので,伝播距離が長くなると考えられる. その結果,双方(公害のあるなし)の周波数分布に,空振は,機器の設定間違いがあり,比較できるデータを取得できなかったが,振動に関してはある周波数範囲から,周波数による振動のマスキング効果が表れると考えられる,特徴的な差異が見られることが明らかとなった. これらのうち,前半の地元及び近隣県の計測データに関しては,振動の伝播,減衰,水平/垂直方向成分の多寡についてまとめを行い,地盤状況によって上下方向の揺れ,左右方向の揺れのどちらが卓越化していることを示した. 以上の成果は,第40回風力エネルギー利用シンポジウムにおいて講演発表を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の遂行に当たり,予定の計測機を配分額の関係で入手できなかったことと,試験機により,テストを行った結果,所期の計測が実施できないことが明らかとなった.そのため,今年度後半から,研究計画を変更することになり,新たに受注生産の機器の導入を図ったため,屋外実験開始が11月にずれ込むことになった. 実験は,変更した計画,すなわち屋外実験を中止し,屋外に注力することによって,空気振動と地盤人道の周波数比較を比較検討するという内容にしたため,そのとりまとめが何度内に収まらなかった.そのため,次年度前半程度まで実験の継続,および取得ミスのあったデータ点に関しての再計測を行う必要がある. 以上2点,(1)装置の入手問題による実験改革の変更,(2)屋外実験の個所数を増やす,ということにより,最終年度前半程度まで計測実験が延長になる予定でsる.
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Strategy for Future Research Activity |
配分予算の減額と,試験機を借用しての試験の結果,室内実験の実行が困難になったため,屋外での計測に,新たな計測法を追加して,計画とは若干異なる視点ではあるが,今後の計画を再構築する. 具体的には,昨年度後半から実施している,地盤振動と空気振動の周波数分布の差異に関する比較計測を最終年度の前半程度まで継続する.そして,空気振動が卓越する周波数と,地盤振動の地盤状況による周波数変化に関して,身体的不調を引きおこすと船舶工学の面で明らかになっている周波数値との比較を行う.現在までのところでは,空気振動は,この周波数に一致はしておらず,地盤振動の周波数分布変化領域が,この不調誘起範囲に入っていることが,目立っている.今後,極力多くのサンプルデータを収集し,被害深刻の有無と周波数分布を比較し,要因の仮説構築を目指す.
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Causes of Carryover |
旅費打ち切り計算を行ったが,計算金額が残額と異なっていたとみられる.
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