2019 Fiscal Year Annual Research Report
Low frequency ground vibration originatede from largescale windturbine
Project/Area Number |
17K07025
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小野寺 英輝 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50233599)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大型風車 / 騒音 / 振動 / 土質 / 音響インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今,大型風車の運転に起因する騒音(空振)の問題が取り上げられることが少なくないが,その大きさは環境騒音程度で,アノイアンス(不快感)の主因とは言いにくいとされる.この事実は,低周波の問題は,減衰率の大きい風車翼からの空振によるものだけではなく,地盤内の伝播も検討すべきではないかということを示唆する.地盤振動の減衰率は,気中に比して小さく,遠距離にまで影響を及ぼす.そして直接的に身体に察知されるものであるが,これまで,風車に起因する振動の伝播に関して詳しく解析した研究はなかった.そこで,風車の誘起する地盤振動の特性調査も重要と考えて本研究を申請したわけである.この一連の研究では,風車が励起した振動を3次元的に解析し,その伝播の様相を,人の感知しやすい揺れの方向と併せて影響を評価した. 第一番目に行ったのは,振動の距離による変化の三次元性の検討である.その結果,FFTによる振動の周波数分析結果から,低周波(5Hz程度)において,人間の振動方向の感知性が大きくなるような方向のへ地盤の振動軸が変化する場合があることを明らかにし,その風車の立地する土質がその原因ではないかという仮説を得た. 次に,振動の距離減衰に関して,特に風車公害の進行の挙がっている地域で計測を実施し,付近住民の体感に関して,解析的に説明を試みた.その結果,雨天・冬季は地盤が締まり,振動の減衰が少なく,夏・晴天時のアノイアンスが少ないことの説明,また,水田においてアノイアンスが十分に小さくなることに関しては,水と地盤の特性速度の差を表す音響インピーダンスの値が含水率とともに非線形に変化することによるのではないかということを示した. 以上のように,一連の研究成果として,風車のアノイアンス問題は,空振よりも地盤振動面からも解析を進めるべきではないかという示唆を得ることができた.
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