2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Desiccant Humidity Control System Driven by Low-temperature Heat Source with Air-cooled Heat Exchanger Type Adsorber Coated with Thermosensitive Polymer Gel
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17K07028
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
窪田 光宏 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60345931)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 感温性高分子ゲル / 水蒸気吸着 / デシカント調湿 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,デシカント調湿システムの低温再生時における除湿性能の向上ならびに顕熱・潜熱分離型空調の省エネルギー性向上の同時実現を目的としている。このために,下限臨界溶液温度を境に親水性と疎水性がスイッチする感温性高分子ゲルの利用に着目し,60 ℃以下の低温再生かつ狭い温度スイング幅での大容量除湿の達成を目指している。さらに,感温性高分子ゲルを空冷式吸着器に組み込んだデシカント調湿システムの構築により,システムの省エネルギー化の実現を目指している。 平成29年度は,デシカント調湿用感温性高分子ゲルの調製および水蒸気吸着特性の把握を試みた。今年度は感温性高分子ゲルの主量体としてN-イソプロピルアクリルアミドおよびメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル,架橋剤としてN,N’-メチレンビスアクリルアミドを用い,主量体濃度(500~1,500 mol/m3),架橋剤濃度(25~100 mol/m3),重合促進剤,開始剤濃度,重合温度(10~50 ℃)を変化させて,ラジカル重合法により感温性高分子ゲルを調製した。さらに調製した高分子ゲルについて,水蒸気吸着等温線の測定による水蒸気吸着特性の把握と感温性の確認,SEMによる形態観察,窒素吸着等温線の測定による微細構造の把握などを実施した。 この結果,調製した高分子ゲルは下限臨界溶液温度を境に水蒸気吸着量が大きく変化する傾向が見られ,液相系のみならず気相系である水蒸気吸着においても感温性を示すことが確認された。本結果から,感温性高分子ゲルの利用により,わずかな温度スイングでもデシカント調湿システムを駆動できる可能性が示された。また,水蒸気吸着量は主量体濃度の減少,架橋剤濃度の増加に伴い増大する一方,重合促進剤濃度,開始剤濃度,重合温度には依存しないことが明らかになり,感温性高分子ゲルの水蒸気吸着性能向上に対する指針が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の研究実施により,感温性高分子ゲルの調製ならびに水蒸気吸着特性の基礎的な把握には成功したが,水蒸気吸着等温線測定装置のトラブルなどにより高分子ゲルの評価に遅れが出たため,高分子ゲルの最適調製条件の決定にまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き,より幅広い主量体,重合条件で感温性高分子ゲルを調製するとともに,調製した高分子ゲルの水蒸気吸着等温線の測定を速やかに実施する。得られた等温線に基づいて有効水蒸気吸着量を算出し,低温再生対応デシカント調湿システムに対して平衡論的に適した感温性高分子ゲルの最適調製条件の決定を早急に行う。 この最適調製条件の決定と並行して,デシカント調湿システムの動的性能を支配する水蒸気吸着速度の定量把握を行うための試験装置の試作・構築を進める。これにより,感温性高分子ゲルの最適調製条件が確立された後,速やかに感温性高分子ゲルの水蒸気吸着速度の測定を可能とし,研究を推進する。
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