2017 Fiscal Year Research-status Report
過給と排気再循環を併用する二元燃料ディーゼル燃焼に最適なバイオ燃料着火の条件
Project/Area Number |
17K07031
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Research Institution | Niigata Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉本 康文 新潟工科大学, 工学部, 教授 (90167023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二元燃料ディーゼル機関 / 天然ガス吸入 / 過給/EGR併用 / 次世代バイオアルコール混合FAME / トレードオフ改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は吸気管に供給した天然ガス(CNG)をバイオ燃料噴霧で着火する二元燃料ディーゼル機関に機械式過給と排気再循環(EGR)を適用するものであり、NOxとSmokeとのトレードオフに及ぼす着火燃料性状、CNG 供給率、過給圧、およびEGR 率の影響を実験的に調査することを目的とする。29年度は以下の研究を実施した。
(1)ひずみゲージ式圧力センサを圧電式センサに換装した。その結果、高精度で応答性のよいシリンダ内圧力信号波形を取得することができ、燃焼解析の信頼性が格段に向上した。
(2)次世代バイオアルコールはセルロース系バイオマスを原料として高効率微生物発酵法により生産されるものであり、プロセスに依存した異性体が生じる。代表的な異性体としてn-ブタノールやイソブタノール(C4)、n-ペンタノールやイソペンタノール(C5)がある。これらすべてを二元燃料ディーゼル機関に適用して特性を調査することは困難であり、着火燃料に採用するバイオアルコール異性体を絞り込むための実験を行った。JIS2号軽油に対して30 mass%のC4/C5バイオアルコール異性体を混合した燃料を用い、吸気管内圧力を100 kPa(過給なし)と120 kPa(過給あり)の2段階、EGR率を0~26%の範囲内に設定し、高負荷一定条件のもとで通常のディーゼル運転を行った。実験の結果、過給の有無およびEGR率によらず、次世代バイオアルコール混合軽油は基準燃料である軽油に比べ、いずれも良好な正味熱効率を保ちながらNOxとSmokeとのトレードオフが顕著に改善した。この場合における着火遅れは、n-ペンタノール<イソペンタノール<n-ブタノール<イソブタノールの順に増加することがわかった。この研究で得られた成果は本年10月に開催される国際会議(ICICEE 2018、イスタンブール)で公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに研究が進展している。研究で得られた成果を論文に取りまとめる作業が完了しており、国際会議(ICICEE 2018、イスタンブール)での発表申込も受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)29年度の研究成果をふまえ、イソブタノール(C4)およびイソペンタノール(C5)を選定する。これら次世代バイオアルコール2種と3種の高純度FAME(カプリル酸メチル:ClME,ラウリン酸メチル:LME,パルミチン酸メチル:PME)との混合燃料を調製し、燃料性状(密度,動粘度,発熱量,蒸留性状,セタン指数)を測定する。
(2)二元燃料ディーゼル機関の実験条件をさらに絞り込むための調査実験を行う。ベース燃料としてLME、CLME(ClMEとLMEとの等量混合FAME)、PLME(PMEとLMEとの等量混合FAME)の3種を用いる。これらに対してイソブタノール、またはイソペンタノールを30 mass%混合した燃料を調製する。混合燃料の記号をLiB30(LME70%+イソブタノール30%)およびLiP30(LME70%+イソペンタノール30%)で表し、以下同様にCiB30、CiP30、PiB30、PiP30とする。これら6種の次世代バイオアルコール混合FAMEを用いて通常のディーゼル燃焼実験を行い、バイオ燃料種別、過給の有無、およびEGR率が正味熱効率、排ガス特性、および燃焼特性に及ぼす影響を調査する。得られた結果をとりまとめ論文を作成する。
(3)熱エネルギーベースで定義したCNG供給率を0%(通常のディーゼル運転)から75%の範囲内に設定し、着火燃料であるバイオアルコール混合FAMEの種別、過給の有無、およびEGR率(0~30%の範囲内)が機関性能、排ガス特性、および燃焼特性に及ぼす影響を調査する。JIS2号軽油を着火燃料とした場合についても同様に実施する。以上の結果をもとに、正味熱効率の悪化なしにNOxとSmokeとのトレードオフがもっとも改善しうるバイオ燃料着火の条件を解明する。研究結果をとりまとめ論文を作成する。
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Causes of Carryover |
本年度に使い切る予定であったが残額が発生したため、次年度に使用する。
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