2018 Fiscal Year Research-status Report
機能化ナノカーボンによる高性能金属空気二次電池の構築
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17K07034
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
湯浅 雅賀 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (50404075)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 金属空気電池 / ナノカーボン / 酸素還元反応 / 酸素発生反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属空気電池は空気中の酸素を正極活物質とするため高い理論エネルギー密度を有しており、大容量蓄電池を要する産業分野において大きな期待が寄せられている。しかし、現行の金属空気電池は充電を行うと、空気極を構成するカーボンブラックが酸化消耗するため、空気電池の充電反応は困難である。そこで申請者はカーボンに替わる電極材料を探索してきた。その中で最近、ナノカーボンの一種であるグラフェンが充電反応に対して安定であることを見出した。しかし、グラフェンは充電反応に対する活性が低いことが問題であった。そこで本研究では、メカノケミカル法により異種元素ドープグラフェンの合成を試み、充放電両方が可能かつ高性能な金属空気電池用空気極の構築を目指す。 昨年度の研究において、グラファイトのメカノケミカル反応によりグラフェンを得る際の合成条件の最適化を行った。また、メカノケミカル反応によるグラフェンは、これまでに多数報告例のある化学還元法によるグラフェンよりも酸素還元および酸素発生反応に対して高活性であることが明らかとなった。 本年度は、窒素および硫黄の炭素骨格中への導入や、メカノケミカル法により導入した窒素や硫黄の結合状態について検討した。まず、メカノケミカル反応によりグラファイトからグラフェンを得る際にメラミンを共存させると窒素が、硫黄粉末を共存させると硫黄がグラフェン骨格中に導入され、酸素発生反応活性が向上することが明らかとなった。また、窒素および硫黄のグラフェン骨格中の炭素との結合状態は、メカノケミカル法によるグラフェンの合成プロセス(どのタイミングでメラミンや硫黄を添加するか)によって異なることが明らかとなった。また、結合状態が異なる窒素および硫黄の酸素還元・酸素発生反応活性を検討した結果、酸素還元反応と酸素発生反応それぞれで活性を示す窒素・硫黄の結合状態を特定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はメカノケミカル法によりどのような異種元素がグラフェンに導入可能か、そしてどのような元素を導入すれば反応活性が向上するかを検討する予定であったが、異種元素の有効な結合状態まで明らかにすることが本年度で達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、グラフェンへの窒素ドープ、硫黄ドープががグラフェンの酸素発生活性を高めること、そしてドープ方法の検討により活性を示す窒素および硫黄のグラフェンとの結合状態が明らかとなったため、今後は触媒担持によりグラフェンの酸素還元および酸素発生活性を高めるための検討を行う。まず、Ni系酸化物を中心に酸素発生活性の高い材料を、Mn系酸化物を中心に酸素還元活性の高い材料を選定し、選定した触媒をグラフェンに微細に担持する方法を検討する。
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