ヒートクラスター型地中熱ヒートポンプの熱・物質輸送現象の解明

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K07035
• Research Institution: Tomakomai National College of Technology
• Principal Investigator: 菊田 和重 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (90214741)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 地中熱ヒートポンプ / ヒートクラスター / 再生可能エネルギー / 熱・物質輸送

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，土壌の熱のみならず積極的に地下水を利用するヒートクラスター型（井戸型）地中熱ヒートポンプの地中内の熱移動に関する解明を目的としている．地下水の井戸への流出入を含む地中内の熱移動は極めて複雑であるため，地中を模擬した実験装置を製作し詳細な熱移動の測定を行なうほか，数値計算によるモデル化を行い現象の解明を試みる．
前年度までの研究では，レイノルズ数やプラントル数，ダルシー数などの無次元数を考慮することで相似条件を満足するスケールダウンした実験装置の作製を行なった．局所での流れの可視化が可能となるように改良を加えたほか，温度計測を行なえるように熱電対ならびにデータロガーを設置した．その結果，井戸内への地下水の流出入の詳細な可視化や温度計測が可能となり，複雑な流動をともなう熱移動現象の解明に近づきつつある．この熱移動に関しては局所の温度計測から全体での温度場の推定に発展させているところである．また，本校敷地内に建設した未来型エネルギーハウス（実験ハウス）にヒートクラスター型地中熱ヒートポンプを設置済みである．様々な負荷パターンによるデータを定常的に取得しており，数値計算のモデル化を行なう際の重要な基礎データとなっている.
数値計算によるモデル化は，汎用のシミュレーションコードを用いてモデル化ならびにその検証を行なっているほか，GPUによる並列化を進め汎用のシミュレーションコードでは不可能な大規模計算が可能となるように開発を行なっている．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

実験に関しては，実験ハウスに設置したヒートクラスター型地中熱ヒートポンプによる実データの取得ならびに相似実験モデルによる可視化や温度計測が順調に進んでおり問題ない．数値計算モデルの作成がやや立ち遅れており，土壌を模擬した多孔質体のモデル化ならびに長尺である井戸のモデル化に困難を極めている．それに加えて並列化のコード開発を行なっているため，進捗がやや遅れている．

Strategy for Future Research Activity

実験により明らかになった事象をもとに数値計算モデルの開発を継続する．実験では局所の情報が得られるようになってきたのでそれらの結果をモデル開発にフィードバックして行く.長尺の問題は並列化により解決できるものと考えている.数値計算モデルの開発ならびに計算コードの並列化を進め，非常に複雑な現象の解明につなげて行く.

Causes of Carryover

本年度は共同研究先より計測装置の無償貸与があったため，当初計画していた計測装置に関する支出が不要となった。
今年度はより精度の高い実験装置に発展させるほか，補助研究員を雇用し計算モデルの開発も行なう計画である.