2018 Fiscal Year Research-status Report
How does a single neural network generate multiple patterns of motions?
Project/Area Number |
17K07042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高坂 洋史 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (20431900)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経回路 / コネクトミクス / 運動制御 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物はさまざまな動きを実行することが可能である。この動きを支えているのは、神経回路が生成するダイナミックな神経活動であるが、同一の神経回路がいかにして相異なる運動出力を生み出すのかは、ほとんど明らかになっていない。本研究は、ショウジョウバエ幼虫の示す二つの相異なる運動パターンをモデルとして、コネクトミクスによる回路同定と、活動可視化・制御による機能解析を進めた。 ショウジョウバエ幼虫は、前進運動と後退運動という相異なる運動を行なう。これまでに、前進時にのみ活動するIfb-Fwd神経細胞と後退時にのみ活動するIfb_Bwd神経細胞を同定し、この両者の機能、及び回路機構を明らかにした。本年度は、回路構造の全体像をより明らかにするために、前進運動と後退運動を担う他の介在神経細胞の探索を2つの戦略で進めた。まず、Ifb_Fwd神経細胞が前進運動のときに特異的に活動することから、Ifb-Fwd神経細胞を神経支配する介在神経細胞も同様に前進運動時に特異的に活動することが予想される。そこで、コネクトミクスにより、上流の細胞を探索し、それらの細胞について神経活動の可視化を行なうことで、運動出力との相関を調べた。その結果、介在神経細胞 pre-Ifb-Fwdの同定に成功した。この細胞は後退運動のときは活動しないが前進運動のときには活動を示す。この3次の前運動神経細胞は、前進運動の実行に関与していると考えられる。2つ目の戦略として、前進運動は尾側の体節から開始するという観察結果より、中枢神経系の尾側神経分節に前進運動に関与する介在神経細胞が存在することが予想される。そこで、少数の神経細胞で遺伝子発現を誘導する系統ライブラリーを用いて、尾側神経分節の中で、前進運動と相関して活動する神経細胞の探索を開始した。これらの解析から、異なる運動出力を生み出す回路機構が明らかになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Ifb神経細胞に関するデータがまとまり、論文を投稿した。異なる運動を制御する神経回路が、コネクトミクス解析によって明確にラベル付けできそうなので、更なる介在神経細胞の探索を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Ifb神経細胞以外に、異なる運動出力に関与する介在神経細胞の探索、機能解析を進めることで、単一の中枢神経系が異なる運動出力を生成する回路機構の解明を目指す。
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Research Products
(11 results)